アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 389

【公判調書1382丁〜】(前回より続く)

この時本職は、鑑識係司法巡査三沢弘をして椎名稔方居宅東側に放置されていた、四箇所にある荒縄を写真撮影せしめて、さらに立会人余湖正伸が前記の通り放置されていた荒縄の任意提出し、これを司法警察員巡査部長・今泉久之助が領置した。

領置した荒縄は、太いものは直径一.五糎であり、長さ二.八〇米のものが三本、

二.七五米のものが三本、

三.四五米のものが一本、

三.四〇米のものが一本、

三.二〇米のものが一本。

細いものは直径一糎あり、長さ一.三〇米一本と、九十糎のもの二本とが繋いであった。

この時本職は、立会人余湖正伸に対し、当時建築中であった椎名稔方のどこへ梯子を置いたか、また、その梯子の付近に木綿の荷造縄を放置したかどうかについて、説明を求めた。立会人余湖正伸は、

「三月二十七日ごろ建前だったが、建前後も幾日か仕事に来て、仕事を中止するときは建物の南側で西寄りの家の隅へ横にして置いた記憶はあるが、木綿の荷造縄の様なものは必要がないので置き忘れたことはない。瓦屋の職人も来ているが、木綿の縄は必要がないわけだ。ただ、小物を積んで来た時忘れていったことも考えられる」(別添略図第二の通り)

(続く)

狭山事件=冤罪という見方とは別に、捜査の質という面から見た場合、この荒縄に関する詳細な調べは評価されて良いのではないか。荒縄の問題を扱った警察官達は「犯人は誰か」では無く「遺体に巻かれた荒縄はどこから入手したか」に焦点が合わされており、その熱心さは実況見分調書を見れば明らかである。くだらぬ、上司への忖度など気にせず、荒縄の出所を探る事のみに集中、見事な実況見分調書を書き上げている。ところで最近、一部のマスコミが取り上げているが、栃木小1女児殺害事件や和歌山毒カレー事件が、どうも冤罪の可能性があると報じている。当時、両事件とも老生はテレビや新聞で情報を得つつ、「こいつらは死刑が相当だな」などと軽い気持ちで思っていたが、全く迂闊であった。一歩突っ込んで深く見ると、狭山事件と共通する要素がはびこっている事に気付く。狭山事件に比べ、こちらの二つの事件が先に冤罪だったと証明される可能性が大である。