アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 388

【公判調書1381丁〜】(前回より続く)

この時本職は立会人余湖正伸に対し、建物の境界線に張った荒縄は何処で買ったか、何時ごろ張ったか、等について説明を求めた。

立会人余湖正伸は、「今年一月、大泉の米屋二軒で俵の外し縄を買った。この荒縄は、一本が大体二.〇〇米くらいの長さであり、一軒の米屋で十本くらい、他の米屋で五十本くらい買い、その荒縄を使って大泉の母子寮の二階建築の足場を作った。この現場が一月末に終わり、確か休みを利用して二月十五日ごろ、母子寮の現場で使った荒縄の三分の二くらいだから、約四十本を持って来る、椎名稔方の建築をするため、北側の境界線を除き他の三方の境界線にこの荒縄をつないで張った。この建築は三月二十三日ごろから始まり、三月二十七日ごろ建前となった。建築中は約四.〇〇米の長さの梯子も使用した。建前が終わり、一時工事を中止し五月二日ごろから再び工事に取りかかった。この間、瓦屋の職人が来て屋根を作った。建築中であった現場には大泉の母子寮の現場で使った荒縄が残っており、当時どこへ置いたかはっきりしない。それから材木を結えてきた細い荒縄もこの現場に散らばっていた。米屋で買った俵の外し縄の太さは、直径が一.五糎くらいであり、一度現場で使ったものだが、まだ使用出来るのでこちらの現場へ持ってきた。椎名稔方居宅東側にある、この太い方が米屋から買った俵の外し縄に間違いないと思う。細い方の荒縄は板材を縛って来たものだと思う」と説明した。(続く)

*殺害された被害者の身体に巻かれていた荒縄。その巻き方は異様であり、老生の稚拙な推測を言えば、この犯行を行なった者は、縄の巻き方に対し異常なまでのこだわりを持つ人物と見る。こういった癖、良く言えば技術は、当人にとってそう簡単には断ち切れず、その後の人生において、私生活や仕事上において、それは無意識なところで披露される可能性があると思われる。さて、本件の罪名の一つに強姦という文字が見られる。この犯罪を調べると、厄介な事にその犯行には常習傾向が顕著であることが分かった。縄の巻き方にこだわり、強姦をも行なえる人物像は、しかしそう簡単には割り出せない。老生は今、ベリンジャー・コメモラティブ・コレクション・メルローというカルフォルニアワインを堪能しながら考え、次の案が浮かんだ。狭山事件後に起きた類似事件を洗う、というアイデアである。脅迫状による身代金の要求という要件を除外しての話であるが、縄が使用された強姦事件を洗うことが、意外と本ボシに近づく道ではないかと思った。まぁ、ただの推測であるが。

狭山事件が発生した当時の映像をYOU TUBEで精査していたところ、上記の二点が確認出来た。特に二枚目の写真に老生は“まさか”と驚いた。わずか0.05秒ほどの動画に写っていたのは、その流れからして、狭山事件発生後、農薬を飲み井戸に飛び込み自殺した男がいるが、その飛び込んだ井戸そのものの映像である。事件後に井戸は埋められ、その痕跡はGoogle Earthストリートビューでは確認出来ない。老生は野次馬根性を剥き出しに、狭山市青柳に現存するこの居宅を偵察して見たが、その庭は畑や農作物にあふれ、肉眼では特定出来なかった。狭山事件の被害者である女子高校生、その葬式には、時の総理・池田勇人の夫人が訪れたと聞くが、スケールの大きさから見て、当時の事件に関する映像は以外と多く残っていそうだ。