狭山の黒い闇に触れる 311
【公判調書1225丁】 弁護人=「五月一日はいつ頃からその畑に出かけられたんでしょうか」 証人=「そうですねぇ、一時位だったでしょうね、畑へ行ったのは」 弁護人=「お昼食べてから後ですか」 証人=「そうです」 弁護人=「何人で行かれましたでしょうか」 証人=「三人で行ってました。せがれ夫婦と私と」 弁護人=「自宅から畑に行かれた時には歩いて行かれたんでしょうか」 証人=「車で行きました」 弁護人=「車というのは四輪自動車でしょうか。三輪の車でしょうか」 証人=「その頃だから三輪のダイハツだったと思います」 弁護人=「三人でその畑に行かれまして、どんなお仕事をなさったわけですか」 証人=「かぼちゃの手入れをしておったんですがね」弁護人=「かぼちゃの」 証人=「丁度その時期には寒さをよけるために、かぼちゃにパラフィン紙をかけてあるんですが、それが五月一日頃になると、一杯になって中で苦しんでいるんですよ。そのために前の方を少し裂いて芯を引っ張り出すんですがね、丁度その日には雨が降って来たので、雨をかけたらすぐ伸びて折れちゃうんで、急いで雨の中をやっていたわけです。どうしてもその時に出しておかなくちゃ伸びすぎて困るものですから」 弁護人=「その畑は全部かぼちゃだったんですか」 証人=「半分はかぼちゃだったんです。二反歩ちょっとあるんですがね、その一反歩はかぼちゃだったんです」 弁護人=「もう一反歩は」 証人=「そうですねぇ、もう一反歩は何だったか記憶ありませんが」 弁護人=「その日作業されたのは、かぼちゃ畑で作業された」 証人=「はい」 弁護人=「三人共そうですね」 証人=「はい」 弁護人=「そのかぼちゃ畑は、あなたの所有している畑の中では南側になるでしょうか、北側になるでしょうか」 証人=「それは道沿いの方です」 弁護人=「⑫から南に下がる道に面した方ですね」 証人=「はい」 (続く) ( 上下とも狭山事件資料より引用) *前回の証人、横山ハルさんや、今回の証人、横田権太郎さんが、五月一日に畑いじりを行なっていた模様は、これが法廷での問答であることを忘れてしまう程、長閑で牧歌的である・・・。