アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 860

【公判調書2694丁〜】

                    「第五十一回公判調書(供述)」

証人=青木一夫(五十五歳・川越市役所臨時嘱託)

                                            *

福地弁護人=「じゃそれを前提にして、関源三さんに三人共犯の自白をしたことはご存じですね」

証人=「はい」

福地弁護人=「何月何日であるか記憶ありますか」

証人=「日にちの記憶はありません」

福地弁護人=「あなたは、いわば六月十八日頃の主任の取調官でしょう」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたが一番詳しいはずだと、私は思うんですがね。少しゆっくりでいいですから、思い出して下さい」

証人=「その頃のいきさつは、やはり私は、入ったばかりでして、一番詳しいのは前から調べのほうを引続いてる長谷部さんが一番詳しかったと思います」

福地弁護人=「そうとばかりは言えないでしょう、あなたは主任で取調べをやってるんだから、関源三に対して石川君が最初の三人共犯の自白をやった日、この日はいつだか分からないと言うから後にしますが・・・」

証人=「恐らく六月の二十日か二十一日頃あったように思うんですがね」

福地弁護人=「という記憶があるんですか」

証人=「はい」

福地弁護人=「この日あなたは、その取調べの場にいたんでしょうか」

証人=「取調べの場におりません」

福地弁護人=「石川君が三人共犯の自白をした相手は関源三、一人ですか」

証人=「調べの時に関源三、一人だけがおったかと、こういうことですか」

福地弁護人=「言い換えればそういうことですね」

証人=「たぶん長谷部さんがいたと思うんですがね」

福地弁護人=「それは、その日の何時頃かは」

証人=「夕方だったと思いますね」

福地弁護人=「あなたは、この時なぜこの場にいなかったんでしょうか」

証人=「ちょうど、関源三部長が何かの用事で来まして、私どもはまだ調べに入っていなかったんじゃないかと思うんですが、非常に前からも面識があるということで長谷部警視か何かが一応会って見てくれということで会ったんです。私がまだ調べ室へ、夕方の休憩か何かで入っておらなかったと思いますね」

福地弁護人=「どこか他へ出張に行っていたわけじゃないんですね、あなたは取調べをする準備態勢は一応あるわけですね」

証人=「はい」

福地弁護人=「そこへ関源三がやって来て」

証人=「その日の午後やはり私ども調べたと思いますが」

福地弁護人=「とにかく休憩時間かどうか分からないが、そのとき関源三氏が来たと、こういうことですね」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたはその日、関源三が来た時にはどうしましたか。その日は石川君の取調べをやってないんですか」

証人=「その日はやっておりません」

福地弁護人=「どこにいたんですか」

証人=「畳を敷いてある控室がありまして、その控室のほうで休憩しておりました」

福地弁護人=「それは一応夕方になりますか、もうちょっと早い時間になりますか」

証人=「夕方だと思いますね」

福地弁護人=「するといつ頃まで休憩しておったのですか」

証人=「私ですか」

福地弁護人=「はい」

証人=「その後は、全然その日は私は調べをやっておりませんから」

福地弁護人=「すると一応控室で休んでおってその後あなたはどうしたんですか、帰っちゃったんですか」

証人=「道場へ布団を敷いて休んでおりましたんですが、その日、休憩室にずっとおりました。ずっとと言いましても休む寝室へ入る前ですから・・・・・・」

福地弁護人=「何時頃まででしょうか」

証人=「十時か十一時頃までです」

福地弁護人=「その間、関源三さんの取調べがずっとその晩行なわれたわけですね」

証人=「はい」

福地弁護人=「どういう取調べが行なわれているかは、あなたは知っておったんですか。あなたは控室で休んでおる時に」

証人=「中のことは私、分かりません。一応そういった自供めいたことをしていることは知っておりました」

福地弁護人=「それは、どうやって誰から聞きましたか、自供めいたことをしてるとは」

証人=「長谷部警視だと思いましたね」

福地弁護人=「十時、十一時頃にあなたは休まれたんですね」

証人=「はっきりではございませんが、たぶんいつも大体その頃だから、遅い時は十二時の時もありましたが・・・・・・」

福地弁護人=「休む時に、石川君の状況について聞きましたか」

証人=「たぶん聞いていると思います」

福地弁護人=「どういうことを聞きましたか」

証人=「今、どういうことを言われましても、はっきりこういうことということは正確に表せませんが、たぶん三人でやったということを言ったと聞いたと思うんですが、どうも・・・・・・」

福地弁護人=「それは誰から聞きましたか」

証人=「具体的にそう細かく・・・・・・」

福地弁護人=「長谷部さんじゃないですか」

証人=「あるいは調書を見たかも知れませんよ」

福地弁護人=「調書を見たかも知れないと」

証人=「はい」

福地弁護人=「その調書は誰が作成した調書なんですか」

証人=「あれは確か関源三部長だと思いました」

福地弁護人=「その調書というのは、かなり分量の多い分厚い調書だったでしょうか、それとも二、三枚の簡単な調書だったでしょうか」

証人=「そう長文のものではなかったように思いますが」

福地弁護人=「その調書には立会人の名前が書いてあったでしょうか、それとも関源三さん一人が作成した調書なんでしょうか」

証人=「記憶ありませんが」

(続く)