アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 838

【公判調書2590丁〜】

                     「第五十回公判調書(供述)」

証人=岸田政二(五十七歳・自動車教習所管理者)

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証人=岸田政二に対する尋問はこれで終え、次回より証人=飯野源治に対する尋問が始まる。

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ところで、引用写真の上から十枚目(丁数2594)で触れられている遺体埋没時の残土問題に関して、次のような記述を見つけた。

「鈴木要之助はごぼう撒きをしに五月二日、三日の両日、何度もその掘りかえされた場所を見たが、たいして気にもせず犬か猫でも埋めたのだろう、それに新井千吉の土地だからと思って、三日朝から中田善枝の行方不明をラジオで聞いていたが警察に届けなかった。

五月四日の午前十時三十分、山狩りの消防団員橋本喜一郎が一米ほど地割れしているので、おかしいと鈴木から農具を借りて三十センチばかり掘ると縄やセーラー服の一部が出てきたのであった。地主の新井は家の建築に忙しく数日畑には出ず、後から知らされて飛んできた。

鈴木も、後から現場に来て畑を荒らされるので縄張りなどした新井も、それから発掘(遺体)に立会った警察官・消防団等、多くの人々も、その付近に残土が目立っていたという事は誰も見てもいなければ、報告もしていない。残土らしいものは一つもなかったと断定してもよかったのである。残土はきれいに処理されていた」(狭山差別裁判・第三版=部落解放同盟中央本部編より引用)

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地面に穴を掘り遺体を埋めたとなると、それは残土も残ろうが、現場に立会った人々のうち誰一人としてそこに意識が向かなかった事実は、やはり現場付近にその痕跡が見られなかったのか、あるいは後難を恐れ立会人らは目を背けたのか、この点も解明されぬまま裁判は進んでゆくのであった。