アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 724

【公判調書2282丁〜】

                  「第四十五回公判調書(供述)」

証人=大谷木豊次郎(五十八歳・浦和自動車教習所法令指導員。事件当時、埼玉県警察本部捜査一課・課長補佐)

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福地弁護人=「この図面で63から61への農道がありますね。この農道を行ったり来たりしておる人がいたんじゃないでしょうか、あなたの記憶は」

証人=「やはりそこは道路ですから通れますからあったと思います」

福地弁護人=「懐中電灯を持って畑の中に入っていった人がいたんじゃありませんか」

証人=「おそらく懐中電灯の光では畑の中に入ってもすぐ傍まで行けばともかく、その傍まで行かなければ見つかりません」

福地弁護人=「その畑の中を捜した人がおったかどうかは」

証人=「知りませんね」

福地弁護人=「捜してはいかんという命令はしてしておらない」

証人=「しておりません。捜せという指示はしておりませんが」

福地弁護人=「畑の中を捜すなという指示はしましたか」

証人=「その指示はしません」

福地弁護人=「畑の中に立入ってはいかんという指示ですよ」

証人=「しません」

福地弁護人=「夜が明けるまでは、要するにそういう要所要所の道路を占めてるというか、そういうことで過ぎたんでしょうか」

証人=「占めてるというよりも結局動きながら、この図面では61から右の方ですね、そっちの方面にも不老川という川がありますね、そっち方面に向かっての捜査を、これはかなり私は、しろという命令は特にしなかったんですけれども、畑の中に入ってしろとか畑の中に入らずにしろというような、そういう個々の具体的な命令はしませんけれども、こっち方面に逃げたんだからそちらの方面の捜査をしろと多少抽象的な命令になりますけれども」

福地弁護人=「それはずっと夜の間もしておったということですか」

証人=「はい」

福地弁護人=「犯人が逃げたということを本部に報告したわけですね。さっきそう言いましたね」

証人=「ええ」

福地弁護人=「何時頃でしょう」

証人=「それは誰かにさせたと思いますが」

福地弁護人=「それで本部から何か指示があったんでしょうか」

証人=「すぐ捜せという」

福地弁護人=「特に応援を派遣するというようなことを、そういうようなことはありませんでしたか」

証人=「派遣はしてません」

(以上 沢田信子)

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(末尾に速記録者の名が記されていることから、ここで一旦、昼休憩に入ったと推測される)

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福地弁護人=「(記録第十冊三〇八丁、当審第三回検証調書添付の第三見取図を示す)右のほうに権現橋というのがございますね」

証人=「はい」

福地弁護人=「権現橋のところに不老川というのが流れて書いてありますね」

証人=「はい」

福地弁護人=「権現橋の下のほうに、もう一つ橋がありますね」

証人=「はい」

福地弁護人=「犯人が逃げた後、犯人が逃げたと思われるところを朝まで捜索されたという話だったんですが、大体、主として捜索されたのは、この権現橋と、それから権現橋の下にある橋、この間が主として捜した場所という風に言えるんでしょうか」

証人=「そうなると思いますが、はっきりしたことは申し上げられません。そっち方面であるということは申し上げられますが」

福地弁護人=「かなり広い方面ですが、大体そちらのほうに逃げたという見込みで捜査をされたわけですね」

証人=「はい」

福地弁護人=「この図面で言いまして、この64点というところですね、ここに犯人が来たと思われるわけですがね」

証人=「そうですね」

福地弁護人=「ここから、63から61の方向へあなたは追いかけられたんだと、そうですね」

証人=「そうです」

福地弁護人=「先ほど言った権現橋と下の橋との中間方向に逃げたということですね」

証人=「ええ、そうです」

福地弁護人=「ただ、どちらへ逃げたかはっきりは分からないわけですが、この図面で見ますと、63から61への農道がありますね」

証人=「はい」

福地弁護人=「これを右か左へ逃げたという、曲がってですね、真っ直ぐ進まないで逃げたという風にはお考えにならなかったんでしょうかね」

証人=「途中63から61の中間の間からですね、右か左へどっちか逃げたんじゃないかということが考えられたかということですか」

福地弁護人=「もう一回、言い直しますと、63から61への農道、あなた追っかけられたわけですね」

証人=「ええ」

福地弁護人=「犯人が逃げたという見込みで」

証人=「ええ、62の手前までですね」

福地弁護人=「この農道が61で左右に分かれますね」

証人=「はい」

福地弁護人=「ですから犯人がこの61の地点で右か左の方向へ、どちらでもいいですがね、そのどちらかへ逃げたという風にはお考えになられなかったですか」

証人=「その当時は考えなかったですね」

福地弁護人=「真っ直ぐ進んだという風に」 

証人=「どっちへ逃げたか、真っ直ぐ進んだか、いずれにしても、この農道に逃げたかどうかもはっきりしませんでした」

福地弁護人=「でも、ある程度の想定はしたわけでしょう、大体の方向についてはね」

証人=「それはとにかく、ここの佐野屋の前の道路から、この狭山の支所のほうへ向かって、道路より左ではなく、右に逃げたことは間違いないが、どちら方向に逃げたかということは、ここではつきかねます」

(続く)

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市民プラザかぞ(加須)での映画上映会後の続きであるが、関係者によると、狭山事件を担当する東京高等裁判所の裁判長が年内に定年退官するという。弁護団としては現裁判長の任期中に再審の道筋を付けたく奮闘中とのことであるが、これが通った場合、困るのが検察庁であり、彼等は躍起になって阻止の動きを活発化しているとのことである。最終学歴がB級高校である私ですら彼等の判断は誠に情けないと、それほどまでして体面、面目にこだわるのかと、潔く全証拠を開示し、弁護団と対峙出来ないのかと、ちょっと熱くなってしまうのだが、それでは彼等が墓穴を掘る結果になる以上、時間稼ぎという策だけが残されるのであろう。

映画「造花の判決」上映後、鑑賞者に配られた冊子。そこには狭山事件再審請求に向けいくつかの新たな鑑定が載っていたが、次に挙げる福江鑑定がそれを締めくくっていた。

ぜひ拡大し確認して欲しい。

そして極秘情報であるが、どうやら10月頃に川越市においても映画「造花の判決」の上映が企画されているらしい。さらに口を滑らせると、NHKのディレクターが狭山事件に興味を示し、部落解放同盟埼玉県連の方と現地調査を行ない、ドキュメンタリータッチでの放送を考えているとのことである。