【脅迫状の謎】⑤


本件脅迫状の文面を見ていたところ、文章の十三行目と十四行目は、いわゆる通常の手紙でいう"追伸"または"追記"的な意味合いを持っていることに気付く。
取引の日時と場所、そして金額を指定し、それと共に時間厳守をも合わせ伝え、文の後半からは本件の取引を秘匿するよう大文字で指示しこれを強調、そして最後の二行において『金をとりにいって、ちがう人がいたら子供は殺す』との追記を加え、あくまで脅迫文の冒頭に指示されている『女の人』が身の代金を持って来るよう、抜かりなく注意喚起を促(うなが)している。たった一枚の紙に、これだけの効果的な表現を記すことは執筆者の知能指数の高さをあらわしており、まことに脅迫状の手本となるような出来映えである。
悪例ではあるが、文章構成力が優れている点で本件脅迫状はその見本であると言えよう。