アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1341 【判決】㊵

『米=メートル・糎=センチ』

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事件現場の位置関係。A=芋穴。B=死体発見現場。C=桑の木。

A=芋穴とB=桑の木の位置関係。

芋穴の傍に見える桑の木(右端)。

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                     狭山事件第二審・判決㊵】

                                 (死斑について)

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   原審の検証結果によると芋穴の深さは約二・七米、桑の木の太さは周囲約二八糎、桑の木と芋穴との距離は二・四五米である。したがって被告人のいうように桑の木に二回りさせ、約二〇糎の端を残すようにするにはそれだけで縄の長さは約七六糎必要であり、そして芋穴の底に縄が達するには桑の木から五・一五米の長さが更に必要であり、その合計は五・九一米となる。ところで、他方、大野喜平作成の実況見分調書をみると「足を縛った木綿細引紐に接続する前記荒縄は俵の外し縄様のもので二本を二重に折って四本合わせとしたもので、・・・・・・その四本は六・九米のもの一本、六・七五米のもの一本、五・五八米のもの一本、四・八米のもの一本である(この状況は別添現場写真三十三号のとおり)。・・・・・・両足を縛った木綿の細引紐は長さ二・六〇米、太さ〇・八糎、輪の部分は直径二十二糎である」と記載されており、これによると、荒縄の全長(昭和四一年押第一八七号の八だけ、細い縄の同押号の九は除外)は二四・〇三米、木綿細引紐の全長は二・六〇米である。そこで、荒縄と細引紐とを結びつけ、これを四重にして使用したと仮定してみると、その長さは約六・六五米になる。そうだとすればこの約六・六五米は前記桑の木に二重に巻き付けて約二〇糎を残し、桑の木から芋穴の底まで達するに要する縄の長さの約五・九一米よりも約〇・七四米長いことになる。したがって、結び目を作るときに要する若干の長さを差し引いても被告人がいうように被害者の死体の足首を縛り、芋穴の中へ頭の方から入れ、縄の一端を桑の木に結び付け、被害者の死体全体を芋穴の底に平らに横たえることは十分可能である。そして、前示の原審検証調書によると芋穴の口は縦六二糎、横七七糎の大きさであるが、その底は三方に奥行三米ないし四米の深い横穴が掘られていて広いから、逆さに吊り下す場合に死体全体を仰向けに芋穴の底に横たえることは容易であるし、そうでないとしても、身体が腰の部分で折れ、上半身が仰向けの状態になることも考えられる。その状態はいずれとも判然しない。少なくとも死体は宙吊りの状態ではなかったと考えるのが相当である。なぜなら、死体を文字どおり宙吊りにするには相当な労力を要するのであるが、この場合死体を一時隠すのが目的であるとすれば、その必要は更にないからである。

   そうだとすれば、検察官がいうように、被害者の死体は殺害後、農道に掘った穴に埋め直すまでの間のおよそ五時間近く、仰向けの状態であったと認めて差支えない。結局、死斑の状態と被告人の自白との間には矛盾がないといわなければならない(弁護人は、最終弁論において死後硬直の点を伝々するが、医学書によれば、死後の硬直は気温の状態に左右されることが多いが、通常、最高潮に達するのは、死後六時間ないし八時間であるとされていることに鑑みると、死後五時間近く経過した時点では、未だ死体を芋穴から引き上げて農道に掘った穴に埋める作業をするのにさして支障はないと判断される)。それゆえ、論旨は理由がない。

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   当時芋穴にはコンクリート製の蓋がのせてあった。

  芋穴の内部。側壁の土の様子が分かるが、果たしてこの壁と皮膚が擦れた場合に、おびただしい擦過傷というものが残るものなのかどうか。さらに言えば、この狭さの中、裁判長がいうように穴の底へ遺体を仰向けに置くことが容易と言えるのかどうか、切羽詰まった状況においてそう都合よくいくものなのか、弁護団による再現実験等は否定し、かと言って検察、裁判所側はそのような実験はせずに被告人は有罪と断じる判決は、なんだか非常に疑わしいのである。