アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1337 【判決】㊱

                     狭山事件第二審・判決㊱】

                                 (死体について)

                                            *

   所論は、強姦・殺害・死体処理に関する自白は、死体などの客観的事実を示す証拠と重要な点で食い違いがある、すなわち、死体の前頸部の傷害からみても被害者は被告人が自白しているような方法で殺害されたものとは考えられず、被害者が姦淫された時期や状況も被告人のいうところと符合していない、また死体にみられる死斑の状況や後頭部の裂傷、これに伴う出血状態、足首に索溝がみられないなどの状況からみて、被告人がいうように芋穴に死体を逆さ吊りにした事実は推認できない、更に死後の経過時間、胃の内容物の消化状態からみて被告人の自白するような時間的経過によって犯行が行なわれたかどうかも疑わしく、このように被告人の自白が重要な点で客観的状況と相違することは、結局被告人が犯人でないから本件犯行の態様について知る由もなく、また真相を語り得なかったことを示すものであり、被告人の自白は虚偽架空であって信用することができないというのである。

   そこで、以下各論点ごとに検討を加える。

              (一)死因と死体頸部の傷害について。

   所論は、上田政雄作成の鑑定書を援用し、死体前頸部に指頭痕や爪痕のないこと、前頸部に二種類の索状物によって絞扼した圧迫痕跡があること、その他眼瞼(がんけん)結膜に溢血(いっけつ)点が比較的少なく眼球血膜にも溢血点や浮腫や血管充盈(じゅうえい)がないことなどからみると、本件の殺害は、自白にいう方法とは異なった方法、すなわち単純な圧頸(あっけい)による扼殺ではなく、おそらく幅の広い索状物による絞頸と前膊部や上膊部などの比較的幅の広い鈍体による圧頸とを併せ用いた複雑な方法の殺害が行なわれたものに違いなく、死体の状況から推認し得る殺害方法と被告人の自白とは最も重要な点で明白な食い違いがあるというのである。

   上田鑑定は、五十嵐勝爾(かつじ)作成の鑑定書、同人の当審証言、員 大野喜平作成の実況見分調書、被告人の六・二五及び七・一検 原調書を資料として再鑑定をし、「右手の親指と他の四本を両方に拡げて女学生の首に手の掌が当たるようにして首を締めたという石川一雄の供述に当たる所見は、以上の死体所見からは全く考えることは出来ない」との結論を下している。そして、このような結論を示した理由として、「眼瞼結膜に溢血点が比較的少なく眼球結膜にも溢血点や浮腫や血管充盈を見ていない。この所見は私の経験上何らかの幅広い物で絞殺されたか、かなり幅のある太い物で強く側頸部を圧迫した時に最もしばしば認められる。これは幅広い物によって気管の圧迫と同時に左右側頸部の血管や頸動脈洞の圧迫、迷走神経の刺戟等の諸種条件が加わり比較的早く意識不明に陥り死に至ったものと思われる」とし、「C3(前頸部に於いて、下顎骨下方より前記b《前頸部に於いて、胸骨点上方約九・七糎の処を通り横走する蒼白色皮膚皺壁1条存在す》までの間は、前頸部一帯にわたり暗紫色を呈し、その内に小指爪大以下の暗黒色斑点若干が散在す。《五十嵐鑑定書》の右前頸部には正中によった部分は軽く弧を描いており、C1(左前頸部に於いて、正中線上で胸骨点上方約九・四糎の処《ほぼ喉頭部上線に相当す》より左方に向かい横走する約六・二糎長、約〇・三糎幅の暗赤紫色部1条存在するも周辺は自然消褪の状を呈し、境界は不明瞭である。《五十嵐鑑定書》)と同様程度の黒化度を示している。C1とc 3の間の距離は前述した如く三糎以上の幅を持っていると考える。しかもこの部分を何らかの索状体で絞頸したものと考えれば、この前頸部のC1・c3等が最も強く、恐らくこの部分に結節があったものと考える。この場合その索状体は単に交叉するのみで絞頸された可能性が強い。

   しかしながらC1やc3の変化を幅広い索状体の辺縁でできた損傷と受け取らなければ頣下部に出来た皮下出血や喉頭部下部にある皮下出血が全く説明がつかない。これらの損傷部を索状体を交叉する際に圧迫した痕跡と考える。・・・・・・外景所見からは前述した如く幅広い兇器で絞殺したものか、あるいは幅広い鈍体で《手、足等》圧頸したものと考えざるを得ないのである。しかも、その索状物あるいは鈍体は圧頸後、間もなく取り除かれ細引紐等を用いて死を確実にしたものではないだろうか。この場合、細引紐は死体に着いていた細引紐で二、三回頸部を締めることが可能であり、最後にその紐を死体につけた儘(まま)放置埋没したものではないだろうか」 とし、また、「喉頭部を上から圧迫し気管を圧迫するのみでは普通はなかなか死に至らず本例の様に溢血点や浮腫が少ない例は前述した如く幅の広い索状物で締めるか、幅広い鈍体により左右側頸部を圧迫する所見が加わらなければならない」としており、これをみると、被害者の死体の前頸部の外景所見からは幅広い兇器(索状物)で絞殺したとは断定しておらず、幅広い手、足などの鈍体で圧頸した可能性もあるというのである。しかも、「鑑定資料(二)(2)(被告人の七・一検 原調書第二回)に記載の如く顎に近い方の喉の所を手の掌が通るようにして上から押さえつけたという記載に一致する損傷としては舌先端に挫創が生じている点や頣下部の皮下出血(恐らくこれも筋内出血を含む)等が妥当する損傷と思われる」ともいっている。このようにみてくれば、上田鑑定と五十嵐鑑定との見解の相違は死体前頸部の外表所見をどう評価するかによって生じているものと考えられるが、五十嵐鑑定でも「本屍の殺害方法は加害者の上肢(手掌、前膊あるいは上膊)あるいは下肢(下腿等)による頸部扼圧(扼殺)と鑑定する」と結論を下しており、両者は必ずしも相容れない鑑定ではないと認められる。現に、弁護人も最終弁論において、親指と他の四本の指を広げてではなく、五本の指をそろえて手掌で圧頸し、その際、前頸部の外表に損傷が生じたのではないかとも推測している程である。(続く)

◯ここら辺の判決文の内容は一般人では理解できない領域で展開されており、老生は尋常ならぬ睡魔に襲われ素直に眠ったのだが・・・・・・2090年頃、木星付近において、乗船中の宇宙艇の工務を担当することとなった老生は携帯溶接機を手に、老朽した船体をアーク溶接により修繕をこなしてゆく。この時、酸素マスクもなく宇宙空間を自分の意思で自由に移動(飛べるのだ!)することが出来ることに感動し、求めていた仕事はこれだ ! と嬉しさに歯ぎしりした時、2025年11月15日午前六時に設定していた目覚ましアラームが鳴り、必死に夢の世界へ戻ろうと布団の中、無駄に手足をじたばたさせてしまう・・・。