
万年筆が発見されたとされる石川被告人宅の鴨居。
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【狭山事件公判調書第二審4307丁〜】
別紙三、事実取調請求却下決定に対する弁護人の異議申立ておよびこれに対する決定。
第一、異議の申立て
一 異議申立ての対象
副主任弁護人=昭和四十九年二月十四日付弁護人の事実取調べ請求中、本日決定のなされたもののうち次の事項に対し異議を申し立てます。
1.右同日付事実取調べ請求書記載の、一検証(一)本件各現場の検証の請求を却下する決定。
2.右同請求書記載の二、鑑定(一)ビニール風呂敷についての鑑定請求を却下する決定。
3.右同請求書記載の三、証人。
(二)木村京太郎
(三)平井清隆
(四)松浦勇太郎
(八)小島朝政
(九)石川六造
の尋問請求を却下する決定。
二 異議申立ての理由
1.本件各現場の検証の請求を却下する決定について
副主任弁護人=「私どもは、裁判所による直接の取調べ、直接主義を一番重要なものだと考えております。できる限り裁判所は直接に証拠を取調べ、そして心証を得ていただきたい。就中(なかんずく=注:1)犯罪の現場であるところの弁護人申請の検証現場は、この犯罪の成否を決めるために極めて重要な意味を持っていることは多くを論ずるまでもないと私どもは考えております。特に弁護人が申請した被告人の自宅、これは万年筆が隠されていたという被告人の自宅のうち鴨居付近、あるいは被告人が被害者をつかまえたという出会い地点、出会い地点から殺害したという雑木林までの距離と状況、あるいは佐野屋周辺の被告人の自白によるところの往路・復路、その関係、その状況等々については裁判所が直接現場を見て心証をとって頂きたいどど(注:2)弁護人は考えておりました。
先ほどの裁判所のご説明によりますと、現場は相当変わっているというお話でしたが、確かに変わっている所もありますけれども、ただ今弁護人が申し上げた場所はいずれも変わっておりません。
これらの現場を裁判所が直接見ることによって本件の自白に含まれている数々の矛盾を直接具体的に検証することができると私どもは考えております」
(続く)
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注:1「就中(なかんずく)」=とりわけ。その中でも。
注:2 この語句を見て老生は最初、誤字ではないかと考えたがそうではないようである。原文(公判調書)には上記のとおり「どど」と平仮名で表記されているが、これに該当する語句を漢字で検索すると「度度」という文字が存在していた。
「度度(どど)」=たびたび。しはしば。そのたびごと。その都度。
◯文脈的にも意味は通ずるので、これで良しとする。
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写真三枚は、石川被告と被害者が出会ったとされている地点。周辺は畑が広がり五月ともなれば農作業をする人々が辺りにいたわけだが、不思議なことに目撃者が一人もいないのである。目撃者はおらず、脅迫状や領置された証拠物から石川被告の指紋は一切検出されていない・・・。

仮に虚偽とは言え自白をしてしまうと、調書を取られもう後戻りできなくなる。くわばら、くわばら・・・。