アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1262

    老生の居住する埼玉県も、一部では気温が40度に達するとの情報を得、熱中死を避けるため某図書館へと避難する。おかげで知的好奇心を満たしつつ涼しく過ごせた。老生が居座った某図書館には『狭山事件コーナー』なる棚が設けられ、気が済むまで狭山事件本を閲覧出来るのだ。できれば一杯やりながら読書にふけりたいものだが。

狭山事件公判調書第二審4281丁〜

                         第七十四回公判  (昭和四十九年五月九日)

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裁判長=「三十五。先ほどの録音テープの取調べ請求について採否の決定をするについて、弁護人にそのテープの提示を求めます。決定をすれば裁判所は無論録音を聞きますが、訳文を添えてもらえば有難いです」

副主任弁護人=「本日そのテープを持参しておりませんので、後日提示致します。その際、訳文を添付します」

裁判長=「三十六。提示を求めた昭和三十八年五月四日付=関口邦造の狭山警察署長あて『被疑者の足跡と思料されるものの発見について』と題する書面については、関口がすでに死亡しているので必要性の点で欠けるところはありません。証明力の点はともかくとして、証拠能力付与のための相当性、作成の日時・形式・態様等からして相当性、これを言い換えれば信用性の情況保障は認めることができるので採用します。

三十七。飯野源治・外一名の現場指紋(足跡)採取報告書は、採取年月日は五月六日、採取場所は伝々、採取方法は伝々、立会人は伝々ということであって、図面が添付されていて、足跡と認められるものについて印しがあり、それぞれの距離が記載されております。これも同様の趣旨で採用して取調べることに致します。

三十八。遠藤恒義の鑑定書については、裁判所もその証拠能力について判例なども研究しておりますが、弁護人のいわれるように、すでにこの点の鑑定については、検察官側からも弁護人側からも鑑定書が提出されておりますので、重ねて取調べる必要がないということで、取調べないことに致します」

大槻検事=「先ほど裁判所から提出の勧告がありましたがネガフィルムのうち、関口邦造作成の実況見分調書添付写真のネガを含む一連のネガフィルムは、現在検察庁にはございません。恐らく警察にあるであろうと思われますので更(あらた)めて警察に対して提出を求めまして、あれば正規の領置手続きをした上で取調べを請求します。

   昭和三十八年六月十八日付の被告人の自宅の家宅捜索をした際の捜索差押調書末尾添付の写真ネガフィルムとその任意提出書一通、領置調書一通がございますので検察官の方から取調べを請求致します。それから、弁護人が指摘しておられる地下足袋一足もございますので、検察官から取調べを請求します。この関係では、領置調書一通と地下足袋半足左、同じく地下足袋半足右で、これで一足分です」

副主任弁護人=「任意提出書および各領置調書は証拠とすることに同意します。フィルムおよびネガフィルム、『りぼん』および『なかよし』については、いずれも取調べに異議ありません。地下足袋についても同様です」

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〈裁判長は、別紙二、証拠関係目録記載のとおり証拠調べをした〉

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副主任弁護人=「本日提出されたネガフィルムは、昭和三十八年六月十八日付=小島朝政作成の捜索差押調書添付写真のネガフィルムを含む一連のネガフィルム全部ですか」

大槻検事=「全部であると考えております」

副主任弁護人=「ただ今、検察官から提出された地下足袋一足の捜査関係を示す書類、例えば実況見分調書・捜索差押調書などはありますか。それから先ほど検察官は、足跡石膏については廃棄処分がなされたと言われましたが、その廃棄処分がなされたことを示す文書はありますか。廃棄されたとすればいつ頃、誰がどこで廃棄したかを知りたいわけです」

大槻検事=「地下足袋の領置関係については、何人が遺留したかわからないものを警察官が領置できることは刑事訴訟法に規定があるところであります。この場合は、領置調書(乙)という様式を使用することになっております。ですから、それが押収関係の書類と申せば正にそういうことになります。『そのほかに何かないか』と言われれば、『ない』と申し上げます。

   実況見分調書は、押収とは直接関係ありません。

   足跡石膏が廃棄されたことを示す文書があるかということですが、私が現在知る範囲では、そういうはっきりした文書は見当たらないようであります。ただ、前に本件の立会検察官をしておりました平岡検事のメモを見ますと、警察に照会したところ、すでに廃棄されていて、『ない』 ということがありますし、それから、前に弁護人から今回と同様の提出命令の申立てがなされた際に、今回と同様の回答をしているわけです。その時点において検察官の責任において警察に適宜な方法で問い合わせて当時確認されたものと推測されます。私自身も事務職員を介して電話で再度照会させ、同じような回答を得ております」

城口弁護人=「本日提出された地下足袋については、領置後、足跡石膏を採取する実験などはなされていますか。それとも現在の泥の付いている状況は、領置した時の状況ですか」

大槻検事=「そういう細かいことになりますと、私は直接そのことを取扱っておりませんので、調査した上でないと正確にはお答え出来ません」

副主任弁護人=「検察官にお願いしたいのですが、今の石膏の廃棄関係について、私どもはその時期と理由および廃棄処分の担当者等を知りたいので、もう少し詳細な調査をお願いしたいのです」

大槻検事=「足跡石膏廃棄の時期・理由および廃棄処分担当者等については調査します」

副主任弁護人=「裁判長、先ほどの証拠調請求に対する決定のうちの幾つかの点について、弁護人側の異議を申し立てます」

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右異議申立ておよびこれに対する決定は、別紙三記載のとおりである。

                                                                             以下余白

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◯ということで次回、別紙三記載を見てみる。実は、上記の弁護人による異議申立てから別紙三が載っている頁までには『証拠関係目録』が十頁ほど記載されており、公判調書どおりの順序で引用した場合、かなり紛らわしくなるのである。したがって次回は十頁ほど先へ飛んだ部分から引用してゆく。

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   以下の写真は、石川被告人の自宅の家宅捜索時のもの(一部)。