アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1260

狭山事件公判調書第二審4274丁〜

                         第七十四回公判  (昭和四十九年五月九日)

                                            * 

裁判長=「二十七。つぎに、検察官請求番号六十二、六十五の承諾書は、 弁護人請求のものと同じ物であると考えられますので、弁護人の方で検察官の立証趣旨は『ポリグラフ検査を受けることを承諾した』ということで弁護人の方でも異議はないということですから、双方請求として決定し、調べます。

二十八。つぎは、検察官請求番号四二の飯野源治・外一名の現場指紋(足跡)採取報告書ですが、記録第二五冊五一四五丁によりますと、飯野証人の供述の中で、検察官が『採取場所・採取方法・立会人・採取者・参考事項・現場の見取図が付いている実況見分に準じた書面ですが、これは証人が作成した書面に間違いありませんか』と尋ねたのに対し、『はい、間違いありません』という風に答えています。そうしますと、法第三二一条三項の実況見分調書の性質を持っていると考えますので、採否の決定をするについて提示を求めたいと思いますが、提示を求めるについて弁護人の意見を求めます」

副主任弁護人=「然るべく」

裁判長=「それでは提示を求めたうえ、休廷後に決定致します。検察官の請求分のうち、前の構成で決定を留保された分中、検察官請求番号五二・五三・五四および四二の各書面については後刻採否の決定をすることとし、その余については、いずれも取調べないこととします。

二十九。つぎに検察官の、昭和四十九年二月七日付証拠調請求書中、弁護人において、証拠とすることに同意された17・18・19・20の各書面(検察官請求番号九三・九四・九五・九六)は取調べることとして直ちに施行します。不同意のもの、つまり1ないし9、11ないし16、21ないし26の各書面(検察官請求番号八〇ないし八八・九〇ないし九二および七一ないし七三・九七ないし一〇二)は、請求を却下します。

   弁護人の意見留保のもの、すなわち、10の中島いくの司法警察員に対する供述調書については、弁護人の意見はどうなりましたか。検察官は、昭和四十九年三月六日付証拠調請求ならびに証拠調に関する意見書で、弁護人において証拠とすることに不同意ならば証人請求するということを申し出ておられるわけです」

副主任弁護人=「中島いくの司法警察員に対する供述調書を証拠とすることには同意しません。それからあらかじめ述べておきますが、中島いくの証人尋問は不必要と思料します」

裁判長=「それでは、中島いくの司法警察員に対する供述調書は取調べません。同人の証人尋問も致しません。

三十。つぎに、検察官が昭和四十九年三月二日付で、不同意の書証にかえて証人に転換された1ないし10(検察官請求番号一〇九ないし一一八)の証人尋問は、いずれも必要なしと認めて取調べないことに致します。

三十一。前述、昭和四十九年三月六日付検察官の証拠調請求等書面中、第一の二証書その一について弁護人のご意見はいかがですか。これは、先ほどの昭和三十八年五月四日付=関口邦造の実況見分調書に難点があると言いましたが、捜査に作為性があるかどうかを解明する手がかりになる証拠だと、むしろ裁判所は思っているわけです。なお、検察官にちょっとお尋ねしますが、足跡写真などが添付されておりましょうか」

大槻検事=「添付されておりません」

副主任弁護人=「特に意見はございません」

裁判長=「それではこの関口邦造の狭山警察署に宛てた『被疑者の足跡と思料されるものの発見について』と題する書面の提示を求めたいと思いますが、提示を求めるについてのご意見はどうですか」

副主任弁護人=「然るべく」

裁判長=「それでは提示を求めます。

三十二。同じく第一の二書証その二の、立証趣旨を捜査の経過を明らかにすることに限定された中田登美恵の司法警察員に対する供述調書および、昭和四十九年二月十四日付で始めから捜査の経過を明らかにするという立証趣旨に限定して取調べを請求された各書証について弁護人のご意見はどうですか」

副主任弁護人=「これは異議があります。本来罪体立証のために請求され、弁護人の反対に遭い、それをそのままの形で立証趣旨を変更して裁判所の審理にさらすということは決して公正なやり方だとは思いません」

裁判長=「検察官請求のこれらの書証は、それぞれの主張の日に、主張のような事項について作成されたという訴訟法上の事実は争いがないということになるのでしょうか」

副主任弁護人=「その点は争いません」

裁判長=「そういうことであれば、これらの書証は取調べないこととします。

三十三。昭和四十九年三月七日付証拠調請求書により取調べの請求がなされた書証および証拠物について弁護人の意見を求めます」

副主任弁護人=「弁護人の意見を述べる前に検察官の説明を求めます。

   雑誌については立証趣旨がそれぞれ『上記雑誌の存在』とありますが、実は、請求書の番号1の雑誌については、従前、同一の雑誌が押収されて私どもも開示を受けたことがあり、今回の請求書を見ますと従前の証拠物と違う物のように思われますが、何故そのようなことを検察官はなさるのか、意味が分かりかねます。それから、上記雑誌の存在という立証趣旨はどの辺にあるのか」

大槻検事=「捜査段階で捜査機関が押収した雑誌りぼん第七巻十三号があることは事実ですが、その押収関係の書類を検討してみますと、任意提出者が如何なる人物であるか皆目わからない。恐らくどこかの書店の経営者ではなかろうかと思いますが、検察官において直接確認できない関係もありまして、雑誌で、代替性があるので、発行所である集英社の方に直接話して任意提出してもらい、当検察官が領置したものです。そういう風にすると手続き関係が明確になるので、その意味で敢えて新しく押収したものの取調べを請求したものです。

   同雑誌自体から立証出来ることは、こういう雑誌がありますということに限るわけですが、弁護人がお尋ねになっていることは、それでは具体的にどういうことをこの雑誌の存在によって明らかにしようとしているのか、その点の検察官の意図を説明して欲しいという趣旨であろうと思いますので、その線に沿って端的に申しますと、これは被告人の自白の部分に、りぼん・なかよし、という雑誌が登場して来るので、その供述に出ている雑誌が斯(か)くの如く存在するということを明らかにする、すなわち、自白の内容を補強するための証拠である。斯様(かよう)にご理解願いたい」

副主任弁護人=「このような雑誌が当時発行されていたことについては弁護人は争っておりません。むしろ、こういう雑誌があったからこそあのような自白が誘導によって作成されたものと私どもは考えております。そうしますと、こういう雑誌が当時発行されていたということを立証するということは、元々意味のあることとは思われません。

   取調べ請求については然るべく」

(続く)