アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1256

狭山事件公判調書第二審4262丁〜

                         第七十四回公判  (昭和四十九年五月九日)

                                            * 

裁判長=「十九。つぎに、前同事実取調請求書中三、証人の(十五)の証人=関源三ですが、被告人の逃走したとされる経路については、被告人の供述や図面があり、これと更新後取調べた張込み配置図やこれまでに取調べた関係証拠で判断できると考えますので、その必要はないと考えます。

   二十、前同事実取調請求書中三、証人の(十六)の証人=三沢弘の〈証明すべき事実〉1については、検察官も然るべくの意見を付けておられるところですが、この点は、裁判所としては関口邦造の昭和三十八年五月四日付実況見分調書が取調べられており、この調書には城口弁護人から更新弁論においてご指摘のような問題があると存じます。その作成経過につきましては、既にかれこれ十一年を経た現在となっては、むしろ当時の記録自体によって考えてみて、それでも分からないときに初めて補助者として参加した三沢証人を取調べる必要があれば取調べるのが真実に近づく道筋であろうと考えます。

   かように考えますと、裁判所としては、弁護人がネガフィルムを開示せよといわれるのは、関口邦造作成の実況見分調書添付のネガフィルムなども重要なその一つであろうと察していますし、のちに検察側の証拠申請に出てきます更新前留保の書証中、検察官請求番号四二の昭和三十八年五月三日付飯野源治・外一名作成の現場指紋(足跡)採取報告書とか、同じくのちに出てくる関口邦造の昭和三十八年五月四日付狭山警察署長宛『被疑者の足跡と思料されるものの発見について』 と題する書面等、当時存在した書証をつき合わせて検討してみれば、警察が作為したものかどうかが分かるのではないか。その上で必要ならば裁判所は証人を喚問するに決してやぶさかではないのです。左様に考えまするが故に、今直ちに三沢証人を取調べる必要はないということでございます。〈証明すべき事実〉2についても十分合議を致したわけですが、もはやその必要はないということになりました。

   二十一、前同事実取調請求書中三、証人の(十七)(十八)の石川金吾・本田進は検察官が木綿細引紐の出所について後退した主張に変わって来た現段階では、もはや取調べる必要はないと考えます。

副主任弁護人=「何の主張ですか」

裁判長=「後退した主張です。今回の更新弁論で検察官は、この点についてはっきりしないように主張を変えられた。検察官にしろ、弁護人にしろ、裁判所にしろ、過去に発生した事実をどのように見るかについては試行錯誤を重ねながら結論に辿り着くものではないでしょうか。そういう意味からも、検察官側の主張が引っ込んだのだから、なぜ引っ込んだのかということについて取調べる必要はないと考えます。

   二十二、前同事実取調請求書中五の物として、録音テープ一巻でありますが、これは、証拠物の意義が証拠となる供述録取的証拠であると考えられますが、その立証趣旨は要するに腕時計発見の経過に疑惑がある、事前工作の疑いがあるということだろうと思います。その点については記録第七四六四丁によると、この録音は、昭和四十五年五月二十三日に宇津・石田両弁護人が録音し、それを昭和四十七年八月十五日に当裁判所が浦和地方裁判所川越支部へ出張して小川とらを尋問した際、当日出頭された全弁護人と、当時の担当検察官および裁判所書記官が立会いのうえ再生したもので、成立については争いがないものと考えます。

   そこで石田弁護人にお伺いしたいのですが、検察官の方では必要がないというご意見ですが、この録音の事柄は、昭和三十八年六・七月頃の事について、昭和四十五年五月二十三日に録音され、その後、二年三ヶ月を経た昭和四十七年八月十五日に再生したもので、小川とらさんは、その二年三ヶ月の間に急に記憶がはっきりしなくなったということで、同証人の証言と録音テープとでは内容的に非常に違うわけですか。この録音テープについては、刑事訴訟法第三二一条一項三号を準用して証拠能力を付与する余地はあると考えるのですが、録音と証言とに全然違いがなければその必要性の点から外れてしまいますが、その点はどうですか」

石田弁護人=「ひと口に言って録音の方が豊富であると思うのですが、その豊富さの内容、証言と対比しての内容と、どういう点がどうであったかは、現在、俄(にわ)かに分かりません」

裁判長=「その録音自体に宇津弁護人または石田弁護人が『私は石川一雄の弁護人の誰々である』ということを録音されているのですか」

石田弁護人=「多分入っていると思います」

大槻検察官=「私は昨日二度にわたってその録音を聞きましたが、弁護人の自己紹介は入っておりませんでした」

裁判長=「この録音テープは、ぽつりぽつりと述べたことを短く整理したということはありますか」

石田弁護人=「それは全然ありません。生の録音です」

裁判長=「その録音テープに昭和何年何月何日、誰と誰が録取したものであるということが録音されていますか」

石田弁護人=「私の記憶では、当日宇津弁護人が吹込んだと思います」

裁判長=「この録音テープの取調請求について検察官のご意見はどうですか」

(続く)

                                            *

◯こういった裁判記録だけ読んでいると我が脳は疲弊し、それにつられ人相をもひどく歪めることとなり、これを打破するため、清涼で純真な心を取り戻すべくリサイクル廃棄本を放出している狭山市立中央図書館へ向かう・・・。

   無料で頂いたこの絵本は読後、我が乾いた心を存分に潤してくれた。