アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1255

狭山事件公判調書第二審4258丁〜

                         第七十四回公判  (昭和四十九年五月九日)

                                            * 

裁判長=「十四、そのつぎに三の証人の(五)大谷木豊次郎証人の〈証明すべき事実〉については検察官も然るべくとの意見を付けておられますが、この点については、むしろ高橋乙彦、大野喜平が直接見分したことで両名を証人として取調べ済みでありますので、もはやその必要はない。また〈証明すべき事実〉2につきましてもすでに証拠調べがなされていて重複するのでその必要はないと考えます。

   十五、前同事実取調請求書中、証人の(六)(七)の証人=増田実太郎・内田春吉ですが、腕時計の捜索状況については当審で梅沢茂・鈴木章・石原安儀・飯野源治ら多数の証人が取調べ済みであり、(八)(九)の証人=小島朝政・石川六造につきましては、すでに昭和四十七年八月七日付の決定を以って却下となり、当審第六十五回公判で弁護人から却下決定に対する異議の申立てがありましたが、第六十六回公判において、その異議申立ては棄却となっております。今回改めて検討してみました結果、やはりその必要はないということになりました。

   十六、前同事実取調請求書中三、証人の(十)の福永吉太郎証人につきましても、以前に全く同趣旨の請求が却下されておりまして、この証人については、異議は出なかったようですが、ただこの証人はどのような職業の方なのか、パイロット万年筆の製造関係の専門家なのでしょうか、それとも西武百貨店の店員なのでしょうか。そういったことが記録上は判然いたしません。それと〈証明すべて事実〉の1と2を見ると、本件の万年筆伝々、と発問が具体的であるのに対し、3・4を見ますと一般的な事項のようになっています。3の『万年筆を個々別々に識別できるか』という点は、保証書にはナンバーがありますが、万年筆にはこれに対応するナンバーがあるとは常識上も考えられませんので、少なくとも3・4についてはそれ自体不必要だと考えます。いずれにしても副主任弁護人にこの証人の証人適格について釈明を求めます」

副主任弁護人=「正確なことは申し上げられませんが、多分、福永吉太郎証人は西武百貨店の店員で、本件万年筆と同種の万年筆を日常販売していた方であり、本件万年筆の保証書を作成したのも同人ではないかと思います。なお、同証人については〈証明すべき事実〉の3項および4項を削除します」

裁判長=「〈証明すべき事実〉の1項および2項についてもその必要はないということで、福永吉太郎証人については申請を却下します。

   十七、同じく事実取調請求書中三、証人の内(二)、(十二)、(十三)の証人=斉藤実・指田春吉・宮岡貞男についてでありますが、証人=宮岡貞男は原審で調べ済みであり、ほかに、当審第六十四回公判で証人=関口実が取調べられておりますので、これらによって判断は可能で、これ以上請求の各証人を取調べる必要はないと考えます。

   十八、つぎに同じく(十四)の証人=高橋ヤス子については昭和四十三年九月二十七日付で不参届が出て、同年十月一日の第二十九回公判で採用の決定を取消し、請求を却下した経過がございます。今回のご請求は弁護人において再度同証人に当たられた上、特に知識・経験を持っている証人であることを確かめられて請求されたのであれば再考の余地もあると考えますが、そうでなければ取調べないことに致します」

副主任弁護人=「今回の証人申請をするについて、再度この方に会って調査したことはありませんが、前にこの証人の申請が却下される以前には弁護人が会って調査しました。実は、犬竹幸さんの方がより体験しているので証人としての適格性が豊富なのですが、犬竹さんが健康上の理由もあるということなので高橋証人を敢えて申請したわけです」

裁判長=「要するに同証人の立証趣旨は姿を見なかったということですね」

副主任弁護人=「そうです」

裁判長=「そのような消極的な事項ですと、例えば守衛とか看守などのように職務の性質上その地点に立っていてその人の姿を見かけなかったということが有力な証拠であるということであれば意味のあることですが、仕事上そこにいたわけではない人が、仮にその場にいたとしても、発見する場合と発見しない場合が考えられるから、その意味からするとどうも・・・・・・」

副主任弁護人=「現地を見て頂ければわかるのですが、何分平坦な畑の中であり、その中を白昼女学生とある青年が通行すれば、見る可能性が極めて大であるという特殊な状況にあったわけで、一般の通りの論ではありません」

裁判長=「検察官の意見にもあるように、犬竹幸から聞いたという伝聞的な要素が混ざっているわけですね。非常にひらけた場所であることは航空写真を見ても分かりますが」

石田弁護人=「この証人には、実は当日来客がありまして、証人自身が来客を送って、午後のとある時間に通って行ったことがある。雨の関係もございます。できればお調べ願えればと思います。不参届の内容からすれば、どうも証人は法廷へ出ることがあまり気乗りではないように思われますが」

裁判長=「法廷に出ることに証人が気乗りであろうと無かろうと裁判所は必要があれば調べますが、どうもこの証人は間接で・・・・・・」

石田弁護人=「畑の話は間接ですが、若干直接の経験も全くその地点と関わり合いがないというわけでもありません」

裁判長=「そのような意味から、お言葉はありましたけれども取調べないことに致します」

(続く)