アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1407

狭山事件公判調書第二審4248-11丁〜】

                                     『意見書』

                    東京高等検察庁  検事  大槻一雄  

                                                        昭和四十九年二月七日

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  八    つぎに、第二次逮捕・勾留は、本件事案の重大性と複雑性およびそれまでの捜査によって、被告人の本件に対する嫌疑がかなり濃厚になってきたこと、本件の捜査を遂行するためには、重要証拠物である被害者の所持品等がまだかなり発見されていないというような事情もあって、被告人の身柄を引き続き拘束することが必要とされたことなどの諸事情により、やむを得ず行なわれたと認められるのであって、これを目して違法または不当な逮捕・勾留ということはできないものと思料する。すなわち、

   ①  第一次逮捕・勾留中、新たに得られた証拠としては、被告人の自宅から押収された地下足袋のうちの一足が、現場足跡に符号することが鑑定の結果判明するに至ったこと、右地下足袋は被告人の兄六造の所有にかかるものであるが、被告人もかつて兄からこれを借受けて履いたことがある旨を第一逮捕・勾留の間に取調べに際し自認していること、内田幸吉に面通しをさせた結果、容貌、身長等から右内田方で中田栄作方の所在を尋ねた犯人と思わせる男は被告人と認められること、中田登美恵および増田秀雄により、五月二日夜、佐野屋付近の茶畑から中田登美恵に呼びかけた犯人の声は、被告人の声と同一音声と認められることなどが挙げられる。

   これに加えて、いずれも供述調書としては、供述者の署名、押印を欠くものではあるが、被告人が六月十一日、検事=河本仁之に対して、本件の殺人、強姦、死体遺棄ならびに恐喝未遂の各犯行は、被告人が他二名の者と共謀のうえ敢行した旨の供述をしたことを窺わせる同日付の供述調書一通と、被告人が警部=清水利一に対して、脅迫状の筆跡は被告人の筆跡であることを間接的に自認する旨の供述をしたことを窺わせる同日付の供述調書一通が存在する。

   ②  そのほか、第一次逮捕・勾留の以前またはその当初の頃から引き続き捜査中であった五十子米屋の手拭い、月島食品のタオル関係の捜査結果が集約された結果、被告人においてこれらのものを入手し得る状況にあったことが確認されたこと、被告人の血液型が被害者の膣内から採取した体液のそれと一致すること、脅迫状の筆跡が被告人の筆跡と一致することがいずれも鑑定書によって確認されたこと、石田豚屋の関係者についての血液型、筆跡、アリバイに関する捜査結果などを総合すると、被告人については恐喝未遂の嫌疑が益々濃厚になると同時に、本件についての嫌疑もかなり明白になってきたものということができる。

   ③  以上のような捜査の経過ならびに結果と、前記のような諸般の事情を慎重に勘案した結果、六月十六日に、本件の強盗強姦、強盗殺人、死体遺棄の事実による逮捕状の発付を得て、翌十七日に被告人を逮捕したものである。

   右のような具体的な経緯に徴すれば、第二次逮捕・勾留もまた適正且つ相当であったと云うべきものと思料する。

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◯現実的には矛盾していても、あくまで自白調書が最優先されるようである。自白調書が事実・現実だと検察官は考えているのだ。こういう特殊な方は弁護人にとってやはり手強い相手である。そして何よりもこういった冤罪事件から学ぶのは「迂闊に喋ってはいけない」ということである。調書に書き込まれたらもう元には戻れないということを頭に叩き込んでおこう。

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   しかし、このところの連日の猛暑はモーレツな疲弊を我が老体へ鞭打ってくる。かと言って部屋でエアコンをフル稼働させても、結果は体調不良を招き、電気代は爆上がりとなるゆえ、この時期、老生は古本を数冊抱え付近の公園へ"こもる"のである。

   雑木林の下、涼しい風が抜け、BGMはセミの鳴き声だけという、とても贅沢な空間で古本二冊を読み終えた。・・・うむ、かなり理想的な時間の消費ができたと満足するも、そのうちの一冊(ミステリーの現場:毎日新聞学芸部)に紹介されていた黒川博行=「大博打」が妙に読書欲をそそり、この書を探すべく熱波38度超えの中、自転車を漕ぎ某ブックオフにて無事これを手に入れる。この書は、犯人が誘拐した人質の身代金として2トンもの金塊を要求するという展開が興味をそそり、これに似た願望を持つ老生は貪るように一時間ほどで読み干す。金塊2トンまであと一歩だったね。