アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1384

◯佐野屋周辺の航空写真(佐野屋北上空から撮影)。

狭山事件公判調書第二審4188丁〜】

『足跡および佐野屋往復経路の諸問題』

                                                                弁護人=城口順二

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三の(2)の

   (ホ)、犯人の足跡と思料した理由がいまだ不思議であるが、次の点を指摘する。すなわち、本調書には、足跡自身の状況、足跡のあった場所の状況の写真がなく、全く非常識にも遠景写真が添付されている。

   実際、見分者が足跡自体の写真を撮らなかったとすればそのこと自体重大であるが、わざと、撮った写真を添付しなかったとすれば一層重大である。

   ところが調書本文には明白に、「足跡一ヶが認められたので写真撮影した」「足跡が二ヶ所あったので写真撮影した後見尺をなす」と記載されている。記載内容から遠景写真でない。

   こうしたのは、捜査の目的・性格を念頭におき、本件の足跡に関する以上の情況に照らすと、見分者が「被疑者の印象」したものとした足跡が、まさに「被疑者」のものであることの根拠がないことを隠蔽するためとしか考えられない。

   (ヘ)、右に対しても当審:長谷部証人は第二足跡について、「五月三日夕方捜査員を集めて調べたら、当時そこへ入った者もないし、そのように歩いた者もない、また、そういう地下足袋を履いた者もいない」と証言した。これまた種々の理由から嘘である。

   (ト)、本調書本文は、足跡採取についてどこにも採取したと記載がないのに、添付写真の中に「足跡採取地点」と註記したものがある。調書本文に記載がないのに添付写真に記載される筈がない。この写真は本来のものとすり替えられた可能性がある。すなわち重要なことは、本文と添付写真は別の機会に作成され、のちに一つの書類に綴じ合わされたものである。

   (3)、以上から本件では、捜査段階に作成された証拠の上では、現場に犯人のものと確認できる足跡があったかどうか、果たしてその足跡が本当に採取されたかは証拠がない、ということになる。進んで鑑定資料にされた足跡石膏が本物であるかが疑問となり、結局、植木弁論はこれを否定し、現場足跡は被告のものでないとした。

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四、「実況見分調書は一体性を欠く」

   植木弁論を要約したが、その問題の捉え方と結論に全く同感である。敢えて次の点を付け加えて、見分調書の一体性がないことの一つの証査としたい。

   すなわち、ほとんどの実況見分調書添付写真は、本文と別の機会に作成されたものであることは、写真を詳しく観察すれば一目瞭然となる。

   次に添付写真の特徴について別表Dのとおり整理する。表によると下の点が明確となる。

   (1)、写真中に佐野屋が写っているものの中に、店頭に旗が出ているものに写真番号1・2・4があり、他の写真は、右の写真と異なる時期になされたことがわかる。

   旗が写真撮影時間によって有無が左右されると考える疑問もあろうが、見分時間が五月四日午前十時より午後一時の間になされていることから、見分開始時の午前十時には、旗を出すか否かは既に決められていると見るのが自然であるから、右疑問は解消される。

   また撮影場所によっては見えないと考える余地もあろうが、旗は東側端にあり、極めて遠方からもはっきり見えるものである。五月五日芝岡清吉作成航空写真報告書添付写真には旗がはっきりあり、このことを示している。

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佐野屋に関する手持ちの資料を漁り、これではないかと思われる写真を見つけるも、どうやらそれぞれの写真は実況見分調書添付写真ではなく、検証時の写真のようである。もちろんこちらは検証日時が違うため、その店構えは変化している。

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◯下は事件当時の航空写真であるが、老生手持ちの資料では、佐野屋の旗の部分が樹木の影に隠れてしまっている。

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(右下に佐野屋が写っている)

   したがって弁護人=城口のいう弁論を写真で確認することは出来なかった・・・。