【狭山事件公判調書第二審4155丁〜】
『筆跡をめぐる諸問題』
弁護人=松本建男
第三、[逮捕後に被告人が作成した調書添付の図面における記載文字、語句の特徴点]
(一)文法上の誤り、稚拙さが著しい。例えば次のような誤りが見られる。
語句 意味
じどんし じどうしゃ
たかはしのんち たかはしのうち
エきどんり えきどうり
よりしや よんりんしゃ
よちんとをも よしちゃんとおもう
100くぬとるくらい 100メートルくらい
五月ツいた 五月一日
せぶェん せいぶえん
あんちんわ97 にいさんは九文七分
こをば こうば
をろしたばしん おろしたばしょ
をかて おかって(お勝手)
とりこや とりごや
しよじ しょうじ
いりくち いりぐち
しよじゆさん しょうじさん
がこを がっこう
じでんしやや じてんしゃや
をいこされた おいこされた
ものき ものおき
じどしや じどうしゃ
このよんな このような
いりそをほをめん いりそほうめん
せェみツ せいみつ
をまわりさん おまわりさん
がッこを がっこう
ふんとを ふうとう
ををきさ おおきさ
ぎゆんにんびんの ぎゅうにゅうびんを
まてェたところ まっていたところ
しゆりこじを しゅうりこうじょう
とけいのすてたばしよ とけいをすてたばしょ
じうたく じゅうたく
つかまいた つかまえた
をいたところ おいたところ
てきあがらないうち できあがらないうち
一メートるくらい 一メートルくらい
をれの おれの
こをばん こうばん
しよぼうこや しょうぼうこや
かわこェほうめん かわごえほうめん
しばあたまつ しばったまつ(松)
じどーしやや じどうしゃや
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語句=このたびわわにしわにしかわ"くみェいてたものです
意味=このたびはわたしがにしかわぐみに はいっていたものです
語句=ざいものをいたところ
意味=ざいもくをおいたところ
語句=なかだェさくさんのいェをきいたいェ
意味=なかたえいさくさんのいえをきいたいえ
語句=へりこふたーのをいたところ
意味=ヘリコプターのおりたところ
語句=よしェさんがしぬねたところ
意味=よしえさんがしんでいたところ
語句=はいてあたとをもをかみがはいツていたさいふ
意味=はいってあったとおもう、かみがはいっていたさいふ
語句=よしェさんだとゆんことがわかるとゆていりそのをとこがよこした
意味=よしえさんだということがわかるといって、いりそ(入曾)のおとこがよこした
語句=むきのはたけかもしりません
意味=むぎのはたけかもしれません
語句=ツかまえていツたほをこう
意味=つかまえていったほうこう
語句=とけいのすてたところ
意味=とけいをすてたところ
(続く)
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○何度考えてみても不思議である。四月末に書いたとされる脅迫状の文字が、逮捕後の六月にはとても稚拙な字体へと変わり、もうこれはそれぞれ別人が書いたものと考えたほうが納得できるのである。上の写真にある調書添付図面の文字と、下の脅迫状の文字は、どこの誰が見ても同一人物によるものとは思われないだろう。