アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1318

○繰り返し観察していれば何か発見できるかも知れない。見づらいが写真左上にA・C、そして写真やや右下にBの記号が確認できる。

A=芋穴

B=死体発見現場

C=桑の木

   捜査当局の見立てによれば、石川被告は被害者を強姦後殺害し、遺体をA地点へ運び、盗んだ縄で遺体を縛り、その縄端をCへ結び付け遺体本体はA内に逆さ吊りに隠匿した。その後新たにB地点へ穴を堀り、AからBへ遺体を運びそれを埋没したとしている。

   えらく簡単に当局は述べるが、それぞれの犯行に関わる作業を個別に検討すると、そこにはとてつもない労力と時間が必要であることが判明し、これは是非とも若くて元気な検察官や裁判官に一連の犯行の再現実験を行なって欲しいと願うのである。

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狭山事件公判調書第二審4048丁〜】

                     「逆吊りはありえない」

                                                                  弁護人=木村  靖

(2)石川自白調書の不合理について"の続き

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e. 芋穴に逆吊りする不合理について

   善枝の死体の足首に結ばれた縄の長さは、昭和三十八年五月四日付実況見分調書によっても、少なくとも十メートルはある。したがって縄の長さから考えると、死体を一時芋穴に隠すだけならば、芋穴の底に死体を着けておいてもその目的を達っせられると思われる。にも関わらず宙吊りで、しかも縄を桑の木に結ぶという力のいる方法を選んだのか全く不可解である。また、被告人の自白の中に、縄を桑の木のどの部分に結んだのか(根か幹か枝か)が全く出てこないのも不可解である。

   ところで桑の木に縄を結ぶということは、芋穴に何かを隠していることをそこを通る人に知らしめるようなもので、人に発見されやすいと思われる。隠すために芋穴を利用するというのであれば、むしろこのような方法は不適切であり他の方法を取るべきであろう。

   したがって死体を隠すために一番的に芋穴を利用するだけであれば、死体を底に着けても十分余るほど長いのであるから、死体を底に着けて、余った縄はコンクリートの蓋付近に隠すようにしておくのが普通の手段であろう。

   結局、縄の長さや人の発見の可能性の面からすれば、死体を芋穴に隠すとしても逆吊りまでする必要はなく、むしろ無駄であり発見されやすく、この方法を取らないのが合理的であろう。ここにも捜査官が自分らの想定に自白を無理に合わそうとしたことが窺われる。

f.ひこつくし様の縛り方の不合理

   昭和三十八年五月四日付大野喜平作成の実況見分調書によると、死体の首と両足にかけられていた二本の木綿細引紐は、どちらも"ひこつくし様"に結ばれていたという。物を縛るために縄ないし紐を"ひこつくし様"にして使用する場合は、目的物を早く捕えるためあらかじめ用意されるのが通常で、例えば動物を生捕りにしたりする時に用いられる。それは足掻(あが)けば足掻くほどきつく締めつけるようになって、決して置かれたままの物体を縛るために用いる方法でない。このような"ひこつくし様"の縄の利用方法で死体を縛ったということは不合理という他ない。さらに最初に結(ゆわ)いたというビニール風呂敷の縛り方については、"ひこつくし様"に縛ったのかどうかその他一切自供にないのも不合理である。

(続く)

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○"ひこつくし様"の縄とは、西部劇映画等でカウボーイが片手で縄を回転させるあれである。遠心力を利用し輪を回転させながら円形を保ち、対象物に投擲、輪がかかったのち縄を引くことで捕獲を完了せしめるという目的で考えられた縄の仕様名称である。

   狭山事件と関連する"ひこつくし様"の縄に対する情報としては、戦後の所沢市で野犬狩りを得意とした父を持つ石田養豚場の長男が、やはり野犬狩りにおいては必須となる"ひこつくし様"の縄を事件当時持ち歩いていたとの目撃情報があったとされ、この人物は事件後、アルコールに溺れ、西武線入曾駅付近で轢死を遂げている。なお西武鉄道入曾駅の事故日誌から何故かこの轢死記録は消されておりその理由も不明であるという・・・。