アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1245

狭山事件公判調書第二審3829丁〜】

証人=高村巌

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中田弁護人=「あなたの鑑定書では配字のことを問題にしておられますが」

証人=「字配りはいつも問題にしますね」

中田弁護人=「この鑑定では述べておられますか」

証人=「述べておりませんが、これは一方は横書きでありますし、一方は縦書きですので、その比較対照の文字が横書き同士とか、縦書き同士でありますと、配字が非常に特徴になってきますが、このような場合には配字はあまり特徴になりません」

中田弁護人=「だけど被検文書の内田裁判長宛と、中田江さく宛の手紙がその同一性をも鑑定を求められていたんじゃないんですか。結果的にはそういうことになる鑑定事項じゃないですかな」

証人=「それは同一性は求められておらなかったと私は今記憶していますがね、鑑定事項の中では」

中田弁護人=「鑑定事項第二項『第二〇号証の一の筆跡と、第一八七号証の一、及び被告人石川一雄から内田裁判長宛の手紙の筆跡とは同一人の筆跡であるか否か』同じ縦書きの二つの被検文書についても鑑定を求められていたんですよ、あなたは」

証人=「ああ、そうですね」

中田弁護人=「それで配字関係というのがやっぱり問題になるというのは、筆跡それ自体の異同を知る上にも重要だからでしょう」

証人=「そうですね」

中田弁護人=「どうしてやられなかったの、この鑑定では」

証人=「これはその、問題になっております文書が横書きであったからだと思っておりますが」

中田弁護人=「つまりあなたとすれば脅迫状というものとの異同こそ重要なのであって、その脅迫状が横書きだから他の二つの異同関係は大して重視するに及ばんと、こういう風に選択されたんでしょうかね」

証人=「主点は脅迫状に置かれたと思いました。私としましては」

中田弁護人=「しかし脅迫状以外の二つの文書の内の一つについて筆跡渋滞という疑問をあなたとしては留められたわけでしょう」

証人=「そうです。それからもう一つ申し上げますが、この配字と申しますのは、これは本当に特徴を出すというその決定的なものにはならないわけです。参考にはなりますけれどもね、決定的なものにはならないんですがね、しかし参考にはなります、十分に」

中田弁護人=「しかしあなたは通常は配字構成についても検討しておられるわけでしょう」

証人=「ええ、検討しております。特徴のある配字については検討しておりますが配字を出さんところを見ると、この中にはあまり特徴がなかったんじゃないかと思っておりますがね。今となっては一応配字についても見るには見ておりますから、鑑定人としましてはここに挙げなかったところを見ますとその配字関係は調べてはおりますが、ここに記載しなかったと思います。で、その配字関係を調べたことについては鑑定方法のところについても述べてあると思いますがね、一応はやったんじゃないかと思いますがね。必ずやるのが本当ですから。で、この横の文字と縦の文字についてはやらなかったんです」

中田弁護人=「もともと全然初めからやろうとも思わなかったわけね」

証人=「やりません。横と縦の文字については」

(続く)