アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1242

上の写真は中田家へ届けられた脅迫状。下二点の写真は逮捕後に石川被告が書いた文章。裁判ではこれらは同一人によって書かれたと認定されている。

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狭山事件公判調書第二審3824丁〜】

証人=高村巌

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中田弁護人=「この間の橋本弁護人が伺ったところではたいへん自信のなさそうなことを仰っておられるんですがね」

証人=「いや、自信がなさそうにおとりになったかも知れませんが、筆跡鑑定に関する限り、私は自信を持っております」

中田弁護人=「私が主として伺っているのは潜在的個性によって信頼度を持ちうるということについての自信を伺っているんです」

証人=「潜在的個性というそのことにこだわられると、何ですが、私の言う潜在的個性というのはその当時言葉がだんだんと変わって参りましたが、潜在的個性というのが人によっていろいろのことにとられるんですよね。それで潜在的個性というのはその筆跡の中に、要するに潜在しておって、ちょっとその説明が難しいんですが、非常にその、表にはあまりよく現われない、普通の人に識別出来ないような微妙な特徴点を今言っているわけです」

中田弁護人=「言葉として分かるんですが、たとえばあなたは今問題にしている坂本ヒサオさんに関する誣告事件などの鑑定書では、これこそ潜在的筆致であるというものを示されたわけでしょう」

証人=「そうですね、示したと思います」

中田弁護人=「だからこそ九十パーセントの信頼度があるんだとまであなたは仰った」

証人=「ええ」

中田弁護人=「それが今言われたように、もともと潜在しているので普通の人にはよく分からんので結果だけ正しければいいと言われたんじゃ、私どもは何か俺の言う結果を聞けという風にしか聞こえないものですからね、その、たいへん失礼ではありますがやや、しつこく尋ねているわけです」

証人=「それはですね、たとえばまあ、あなた自身もそうだと思いますが、甲の人間と面通しする場合に、その男だったかということを言われた場合に、五、六回会った人間なら大抵覚えておられると思うんです。で、この人間だと言った場合に、この人間じゃないという人間がおりますと、これを証明するということは非常に難しい場合がございます。で、それが一つのまあ潜在的な、その、何と言いますか、識別、潜在的にその特徴というようなものがあってですね、はっきりとその表に出ていないその人の個性というものがそこにあったんだと思うんです」

中田弁護人=「ですけど、今のような例で言われるならば、なるほど何度か会った人のことを考えるというのは我々のいわば表象でしょう、頭の中で思い浮かべることですわね、それをあれこれ比較して推定していくという作用を我々の頭はする。しかしですよ、筆跡鑑定は物が現実にあるんですよ、目の前に。誰でも認識しようとすれば認識できる対象なんですよ。そういう例ではまだ理解出来ませんね。物が現実にあって、これ比較対照出来るんだから、それにはその潜在的個性というものがどういう風にしたら認識出来るかを、あなたとしては示さない限り、あなたの鑑定は正しいとは言えないことになりませんか」

証人=「しかしこの説明によって私は十分それを示していると思います。これをその、お分かりにならないという方があるとするならば、無理にお分かりにならないような立場をとっておられるんだとしか私は考えられないですね」

(続く)