アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1240

(脅迫状)

(石川被告が書かされた脅迫文)

                                             *

狭山事件公判調書第二審3821丁〜】

証人=高村巌

                                            *

中田弁護人=「それではその『な』の字の第一筆と第二筆が交わるところの場所はどうでしょう。端的に言いましょう、第22図、脅迫状の文字は、第一筆のかなり左のほうで交わっていますね」

証人=「はい」

中田弁護人=「第23図と第24図は第一筆の中央近くが交わっている、これは他の字を各被検文書について見る限り、かなり共通している問題と私は見ているんですがね、これもこだわる必要のないことですか」

証人=「第22図はこれを延長しますと、これが少し長く見えるんですよ。第二筆のほうへ続いておりますね。で、二筆のほうへ続きますと、これは長くなるわけです。これはですね、この左のほうへ出る出ないということはあまりその特徴としては成り立たないんじゃないかと思いますがね」

中田弁護人=「第一筆の右上の角度と、第二筆の角度によって、その交わる場所が実際にはかなり違ってくるのではないでしょうかね」

証人=「角度によっても違いますし、それからその第一筆の最初の書き出しによっても違いますね」

中田弁護人=「ですから私が言ってるのは第一筆の持つ角度なりと、第二筆の持つ角度なりを丁寧に計ることは、『な』の字についてその特徴を探って行く上で必要なことではないだろうかと思うからなんです。どうでしょう、あまりこだわっちゃいかんことですかね」

証人=「私はあまりこいつには、こだわりませんですがね。『な』という字は我々が鑑定していることではそういうことより、むしろ第二筆、第三筆以下に特徴が出るんですよ。今までの経験から申しますと」

中田弁護人=「それは経験からと仰るけれども、そこのところを少し説明して下さい」

証人=「今までの経験でそうなっている。それは実験によって、そうなっているんです」

中田弁護人=「それを具体的に言って下さい」

証人=「それは、私の知らないところで一応書くわけです。そして甲、乙、丙、丁、いろいろの人がいろいろの字を書きまして、そしてそれに番号を付けまして、そしてこれは誰が書いたかということを鑑定するわけです。そしてその鑑定が全部出来るようにならないと、全部的中しないと、これは鑑定する者としてはなかなか鑑定を、訓練の期間においてはやらされないわけですね。そして、鑑定をやっておりますが、その時に『な』という字はその第一筆、第二筆よりも第三筆以下に特徴が出るということが今までの例から明らかになっているわけです」

中田弁護人=「これはそのことを今述べられた『な』の字についてのそういう意見をどこかで述べられたことがありますか。あるいは書類にされたことがありますか」

証人=「いや、ありません。言ったこともありません」

中田弁護人=「あなたは何度も何度も違う人に書かせるんだというようなことはあなた自身が受けられた訓練の中でもそういうことをやってこられたわけでしょう」

証人=「そうです」

中田弁護人=「特に『な』の字については第三筆以下に特徴が現われるんだということを、いわば主眼として実験をされたことが本当にあるんですか」

証人=「それはあります」

中田弁護人=「いつ頃でしょう」

証人=「それは昭和七年頃から十二、三年にかけてですね」

中田弁護人=「そういう特徴が第三筆以下に主として現われるのはなぜかということについても専門家として当然考えられたでしょう」

証人=「いや、私達は専門家で実際家ですから、結果的にそれが出来ればいいというんで、なぜかということになると非常にその難しいわけですから、いろいろの点があると思います。ですからこれは学問的に非常に難しくなると思いますので、そういうことまではやっておりません」

(続く)