アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1228

(芋穴。コンクリート製の蓋には丸い空気穴が開いている)

(芋穴の内部)

狭山事件公判調書第二審3798丁〜】

                      「第六十七回公判調書(供述)」

証人=新井千吉(五十八才・農業)

                                            *

橋本弁護人=「あなたの所有の芋穴ですけれども、これはさつま芋を貯蔵するための穴ですね」

証人=「ええ、そうです」

橋本弁護人=「芋穴の蓋にコンクリートの重いものがついておりますか」

証人=「はい」

橋本弁護人=「大体、目方はどれくらいありますか」

証人=「そうですねぇ・・・・・・二枚で十貫くらいでしょうか」

橋本弁護人=「一枚は五貫匁くらいあると」

証人=「ええ」

橋本弁護人=「ぴったり合わせて蓋をするようになっていたと」

証人=「ええ」

橋本弁護人=「芋穴の蓋は普通はきちんと閉めておくものですか」

証人=「空気穴も上についていることですから一年中、芋があってもなくても蓋はしておきます」

橋本弁護人=「浦和の裁判所でのご証言によりますと、ねずみなどが入ると困るから蓋はちゃんとしておいたというようなことを仰ってますね」

証人=「その通りです」

橋本弁護人=「芋というのは秋に入れて春に上げる」

証人=「ええ、そうですけど、最近は芋を作らなくなったから芋穴も長く使わなかったと思います」

橋本弁護人=「事件当時はどうなんですか」

証人=「使ってなかったんです・・・・・・さて、ちょっと分からなくなってしまったけれども・・・・・・」

橋本弁護人=「芋穴として芋を貯蔵してあったかどうか分かりませんけれども、浦和のあなたの証言によりますと蓋はきちんとしてあったと」

証人=「いつでもしてあります」

橋本弁護人=「それから芋穴の蓋のところに、死体が発見された日ビニールの風呂敷があったという話でしたね」

証人=「気がつかなかったです」

橋本弁護人=「ビニールの風呂敷に触ろうとして、触っちゃいけませんということを言われたように言ってますが。浦和の裁判所の時には」

証人=「そうでしたですか」

橋本弁護人=「死体が掘り出された日、現場に行きましたね」

証人=「ええ」

橋本弁護人=「そして芋穴のところに行ったらもう調べの終わり頃の話ですが、蓋のところにビニール風呂敷が置いてあったので自分の家のものかなと思って手で触ろうとしたけれども、これは地主と言えども、触ってはいけないということを言われたと。警察に」

証人=「そうですか、しかしその時にはね、全然穴ぐらに善枝さんが下げられたということは知りませんでしたから、その後、穴ぐらの上で休んでお茶菓子など食べておったんですから、何も知らなかったんです」

橋本弁護人=「芋穴の蓋の上で休んでお茶を飲んでいた」

証人=「ええ」

橋本弁護人=「誰と」

証人=「家の者と芋穴に、下げたということを知りませんでしたから、穴の上はコンクリートで、きれいなもので、その上で休んでお茶を飲んだりしていたのです」

(続く)

                                            *

○証人は、のちにこの芋穴に遺体が吊るされていたことを知るようであるが、そのこと自体、実は石川一雄被告の虚偽の自白によるものである可能性がほぼ確実と思われ、証人は芋穴の蓋の上でお茶菓子を頬張り舌鼓を打っていたことに対し恐れ慎み遠慮することは全くないのである。

    今述べた、後になって事実を知り、それに対し恐れ慎み遠慮するかどうかが問われる事象を、老生が経験した例を挙げ考察してみたい。

   記憶によれば、あの日、各スポーツ新聞の一面にマイクタイソンがボクシングの試合中に対戦相手のホリフィールドの耳を噛みちぎる記事で賑わっていたことから日時は1997年頃となる。

   午前11時頃、突如、老生が勤務していた倉庫内敷地に警察車輌が続々と現われ、男が警察官と共に護送車から降りてきた。

(GoogleEarthより引用)

    老生が勤務していた倉庫は京浜運河に面しており、労働作業の状況により尿意をもよおした場合、素早く運河へ放尿することが常となっていた。こういった時、何故か労働者らはその放尿ポイントを決めたがり、誰が決めるでもなくそれは運河(当時、水深1メートルほど)に沈む青いバケツへとの暗黙の了解が浸透していた(写真青印付近)。

   両脇に警察官を携えた男は運河の底に見える青いバケツを指差し、鑑識係と思われる人々がそれを引き揚げ何やら観察を始めたのであった。老生を含む労働者らは空腹に耐えられずこの時点で事務所へ戻り昼食にありついた。 

   帰宅後、テレビのニュースでは、数年前、相模湖で発見された首なし死体の頭部が、犯人の供述により京浜運河から発見されたという報道を流していた。

   ・・・・・・あの青いバケツ(記憶によると中にはコンクリートが詰められていた)に人間の頭部が。しかもこの倉庫に勤務する労働者らの立ち小便の的になっていたとは・・・。

   知らなかったとは言え、これは恐れ慎み遠慮しなければ被害者が浮かばれないだろう。