【狭山事件公判調書第二審3777丁〜】
「証拠調請求書」
強盗強姦殺人等 被告人 石川一雄
右被告人に対する頭書被告事件につき、左記の証拠の取調べを請求する。
昭和四十七年九月十二日 東京高等検察庁
検察官 山梨一郎
記
第一、鑑定書
1 、昭和三十八年六月二十九日付、遠藤恒儀作成の鑑定書。
○立証趣旨
昭和四十七年七月二十七日公判期日において陳述したとおり。
2 、筆跡鑑定書の送付について。
昭和三十八年六月二十九日付埼玉県警察本部刑事部鑑識課長より狭山警察署長あての右鑑定書の送付書。
○立証趣旨
右鑑定書の成立を明らかにする。
3、戸籍簿謄本。
ただし、昭和四十七年九月十二日付東京都中野区長作成のもの。
○立証趣旨
右鑑定人:遠藤恒儀は、昭和四十三年十二月三日に死亡したこと。
4、検査回答書。
ただし、昭和三十八年五月二十二日付、星野正彦ほか一名作成のもの。
○立証趣旨
本件スコップの附着物の成分は、脂肪酸エステル、アミノ酸、澱粉、筋肉繊維様微小片、白色米飯粒、稲科植物種子様の穂状植物片、汚黄土色半球状物(豆状のもの)等であること。
5、検査結果について。
昭和三十八年五月十二日付、埼玉県警察本部刑事部鑑識課長より狭山警察署長あての右回答書の送付書。
○立証趣旨
右検査書の成立を明らかにする。
6、鑑定結果回答書。
ただし、昭和三十八年六月十日付、群馬県警察本部長より、埼玉県警察本部長あてのもの。
○立証趣旨
群馬県警察本部刑事部鑑識課長:内田常司技師が、本件足跡が被告人方より押収した地下足袋の足跡と一致する鑑定を行なったこと。
7、鑑定結果の送付について。
昭和三十八年六月十一日付、埼玉県警察本部刑事部鑑識課長より狭山警察署長あての右鑑定書の送付書。
○立証趣旨
右鑑定書の成立を明らかにする。
8、時計の地中埋没時間推定不可能の理由について。
ただし、昭和三十八年七月十一日付、埼玉県警察本部刑事部鑑識課長作成のもの。
○立証趣旨
科学警察研究所機械研究室より本件腕時計の腐蝕量から判断して、地中埋没時間を推定することは環境条件に著しく左右され、その時間を推定することは困難であると回答のあったこと。
9、鑑定書。
ただし、昭和三十八年八月三十一日付、科学警察研究所:荏原秀介作成。
○立証趣旨
被害者:中田善枝は、学友:中根敏子よりインクをもらい万年筆に入れて使用していたので、右鑑定書は本件万年筆のインクと右中根敏子のインクが同質であるというものであり、本件万年筆が被害者の所有であることは明白であること。
10、鑑定結果について。
昭和三十八年九月四日付、埼玉県警察本部鑑識課長より原検事あての右鑑定書の送付書。
○立証趣旨
右鑑定書の成立を明らかにする。
11、承諾書。
ただし、昭和三十八年五月二十三日付、石川一雄作成のもの。
○立証趣旨
ポリグラフ検査を受けることを承諾したこと。
12、検査書。
ただし、昭和三十八年六月七日付、埼玉県警察本部刑事部鑑識課:森祐造作成のもの。
○立証趣旨
被告人に対して昭和三十八年五月二十三日行なったポリグラフ検査の結果、被告人が本事件に関し有罪意識を有すると推定されると判断されたこと、その質問表七においては事件に直接関係のある関係質問とは別に対照質問、擬装質問(例:今年二月入曾の山の中で娘さんを殺したのは君ですか)を設定し、反応を比較対照した結果、関係質問に対する反応は対照質問および擬装質問に対する反応より大であると認められたこと。
13、ポリグラフ検査依頼について(回答)。
ただし、昭和三十八年六月九日付、埼玉県警察本部刑事部鑑識課長より狭山警察署長あてのもの。
○立証趣旨
右12番検査書の成立を明らかにする。
(以下、次回へ続く)