アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1201

 

  【狭山事件公判調書第二審3720丁〜】

(今回引用している文章は、脅迫状の筆跡と石川一雄被告が書いた調書の筆跡が同じかどうかということについての綾村勝次による鑑定の続きである)

                                            *

                                   「鑑定方法」

    往々にして資料についての概観的検討が軽視されがちである。すなわち、その類似点だけに注意を払い、相違点の認識に欠如する傾向を持つこの二点を念頭において、客観的検査法によって、資料を拡大写真にし比定して行くのである。配字の関係、文字の画や線の傾斜角度、字間の間隔、筆勢の強弱、運筆の順序および書写速度等を分解し解明していくのである。

                               「文字の異同識別」

    関係資料(一)は珍しく横書であるノートをちぎった紙面に書いたというので自然横書、左から書いたものと思えるがこれは全く意識的にしたのではあるまいか。自然の筆跡をごまかす為にそう書いたこととしか思えない。しかも相当書き慣れた調子に書いてある。したがって筆勢もあり筆力も認められる。書き直した箇所はあるいは左手で書き加えたもののようである。それは落筆の点に問題が認められる。その文字にも力を加えることなく素直に自然に打ちこんであるのに書き直しの文字の最初の打ちこみには無理な筆のあたりがある。その適例は"の"字である。

上四点の写真は脅迫状本文の"の"字。下二点の写真は脅迫状を書き直した箇所の"の"字。

      本文のもとの"の"字と比較すれば、いかに苦しんで書いたかはよく分かる、つまり書き難いのに無理に書いたからである。換言すれば、左手で書いているからである。

(続く)

                                            *

○ところで、この事件の犯人が残した脅迫状には、我々がまだ気づいていない情報が含まれてはいないだろうかと思うのである。かと言って、今さら真犯人探しという愚かな考えは慎み、控えるべきであるが、そうではなく脅迫文のみを個人的に分析してみることはそう恥じることではないと思い、それに触れてみた。

脅迫文の冒頭にはこう書かれている。「このかみにツツんでこい」

・・・これは身代金を脅迫状に包んで持って来いという要求である。犯人が金と脅迫状を同時に回収する算段であったとし、もしこの通りに身代金受渡しが行なわれていた場合、今我々がこの脅迫状を目にすることもなかったわけである。ここで思うのは、犯人は脅迫状を使い捨ての単なる手紙と扱わず、あらかじめ回収するという意図を持ち投函していたことだ。この一枚の脅迫文が当局に押収された場合、自身に及ぼす逮捕の危険性は格段に上がることは自覚していたのであろう。

    筆跡や、文章中に迂闊にも残した犯人にしか知り得ない情報、指紋、あるいはこの脅迫文が書かれたノート紙片も含め、丸々回収する方法を犯人は取ったのだ。

   実際の身代金受渡しでは、被害者の姉が家族と相談の上、身代金に見せかけた紙片を風呂敷に包み犯人と対応している。

   この個人的分析はこっそりと続く。