アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1178

事件当時の石田養豚場。

その養豚場の不老川土手近くに置かれたスコップの様子。

○昭和三十八年当時、狭山市内で豚を飼っている農家は九百四十八カ所あったというが、警察はスコップ発見とほぼ同時に所有者を特定した。

狭山事件公判調書第二審3642丁〜】

             「第六十五回公判調書(供述)」(昭和四十七年)

証人=野口利蔵(四十六歳・警察官=所沢警察署捜査係巡査)

                                            *

藤田弁護人=「石田豚屋さんで豚小屋の近辺に、ほかにスコップが何本かありましたか」

証人=「・・・・・・あったかどうか、ちょっと気が付きませんでした」

藤田弁護人=「そういうことは覚えていらっしゃるでしょう」

証人=「うちの近所にあったような気がします」

藤田弁護人=「何本くらいありましたか」

証人=「二本や三本はあったと思います」

藤田弁護人=「どういう所に置いてありましたか」

証人=「分かりません」

藤田弁護人=「取られたことをあなたは聞いて行ったという風なことですけど、その石田さんは本当に取られたという風なことをその時すっと言いましたか」

証人=「言いましたから被害上申書を上申したんです」

藤田弁護人=「取られたことを佐野屋さんに話したかというようなことを聞きましたか」

証人=「・・・・・・聞いたか聞かないか、ちょっと記憶がないんですけど」

藤田弁護人=「一番初めの話の切出しだと思うんですがね、記憶がないというお答えでいいわけですか」

証人=「当時私と吉田刑事が捜査して石田さんへ行ったんですけど、まあ吉田刑事のほうが私より先輩なんです。それで一緒に行って私が喋るより吉田さんがやっぱり、先輩を尊敬しますから、報告書も吉田さんが書いたんです」

藤田弁護人=「あなたは、ただ付いて行っただけだということになるんですか」

証人=「付いて行ったということじゃないんですけど」

藤田弁護人=「大事なことですからね」

証人=「・・・・・・・・・」

                                            *

中田弁護人=「佐野屋さんで聞いたことを報告書にして提出して、それから石田さんの所へ行けという指示を上司から受けたわけですね」

証人=「はい」

中田弁護人=「通常、捜査本部へ帰ってその日にあったことを上司に口頭で報告する前に、まず自分で報告書を書くわけですか」

証人=「はい」

中田弁護人=「何かこれは大事だと思うようなことがある時は、すぐさま口頭で取りあえず言うということもあるでしょう」

証人=「はい」

中田弁護人=「このスコップのことについては、やっぱりいつもと同じように自分でまず捜査報告書を書いたという記憶ですか」

証人=「はい」

中田弁護人=「捜査報告書を待って行く時、誰かに持って行くわけでしょう」

証人=「はい、持って行って口頭で報告するわけです」

中田弁護人=「私、警察の中のことはよく知りませんが、普通は捜査全体を指揮している中で、庶務のような係の警部クラスの人がいるんじゃないんですか」

証人=「はい」

中田弁護人=「そういう人が捜査報告書を受け取るわけでしょう」

証人=「はい」

中田弁護人=「いつもどなただったか覚えてませんか」

証人=「当時、捜査主任官が七、八人いたと思います」

中田弁護人=「それでは具体的に伺いましょう。将田政二という警視をご存じですか」

証人=「知ってます」

中田弁護人=「長谷部警視をご存じですか」

証人=「はい」

中田弁護人=「この人たちが本部付警視をやっていたんじゃありませんか」

証人=「そうです」

中田弁護人=「それから捜査班が捜査本部の編成の時に、四つくらいに分けて作られたということを述べている人がいるんですがね、具体的に人の名前を挙げましょう。いずれも警部さんですが、清水さん、山下さん、小島さん、青木さんという方が班長だった。あなたはその中で言うとどなたの班に属しておりましたか」

証人=「青木警部のように記憶します」

中田弁護人=「そうしますと、捜査報告書を出すのは自分の直属の上司である青木警部に出すんでしょうか、それとも庶務のようなことをやっている人に出すんですか」

証人=「青木警部に出します」

中田弁護人=「そうすると石田さんの所へ行けと指示したのは誰だったか、やっぱり思い出せませんか」

証人=「青木さんじゃなかったかと思います」

中田弁護人=「はっきりした記憶があるわけではない」

証人=「青木さんか清水警部、どっちかだったと思います」

証人=「あなたが捜査報告書を出すと同時に、口頭でこういうことがありましたということを言いますね」

証人=「はい」

中田弁護人=「そうすると、すぐその場で調べに行けと言われたのでしょうか、それともある程度時間が経ってから指示があったんでしょうか」

証人=「一応の報告が終わってからすぐ行ったような記憶があります」

中田弁護人=「その時に指示された中には、盗難かどうかを確かめて、盗まれたということがあるならばその上申書を作成してもらって来いというような指示を受けていましたか」

証人=「はい、被害上申書を作成するように言われました」

中田弁護人=「あなたが戸門さんの所へ聞込みに行かれたのは、その十五日間くらいの間で何回くらいあるんですか」

証人=「二回くらいだったと思います」

(続く)