(写真は第一見取図)
【公判調書3608丁〜】
「第六十五回公判調書(供述)」
証人=高橋乙彦(四十七歳・警察官。事件当時は埼玉県機動隊分隊長)
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橋本弁護人=「(前同、当審第一回検証調書添付第一見取図を示す) 記憶喚起のために言うのですが、死体を発見した付近に山学校というのがありますが、地図で。 あなた山狩りをした当時建築中の中学校がありましたね」
証人=「はい」
橋本弁護人=「その建築中の中学校というのは第一見取図の東中学校とある部分だと思いますが、それに相違ございませんか」
証人=「そうだと思いますが」
橋本弁護人=「その建築中の中学校の南側に、やや東西に走る道路がありまして、これを西の方に行きますと右側に通称山学校といわれる施設がありますが、それをご記憶ですか」
証人=「私は山学校というのはこの東中学校かと思っておりましたが」
橋本弁護人=「当時そう思っていたんですか」
証人=「いや当時じゃなくて現在も」
橋本弁護人=「当時、山学校という言葉は聞かなかったんですか」
証人=「聞いておりましたが」
橋本弁護人=「そうすると東中学校というのは、覚えておるその南側を東西に走る道路、これ加佐志街道というんですが、これを西へ進みますと右に山学校という施設があるということははっきり覚えていない」
証人=「はい」
橋本弁護人=「さらに進みますと荒神様というのがあるんですが、それは覚えておりますか」
証人=「そこには行ってないんですが」
橋本弁護人=「覚えてない」
証人=「はい」
橋本弁護人=「そうすると東中学校の南を走る加佐志街道の南側一帯、この付近は当時何だったと思いますか」
証人=「麦畑だったように記憶しておりますが」
橋本弁護人=「畑が続いておりますね。さらにその南側に雑木林が続いておりますね」
証人=「そこがちょっと低くなってて」
橋本弁護人=「⑮⑭⑬と番号が付いておりますね。雑木林の山だったと。そして加佐志街道からすると雑木林の方は低地になっている」
証人=「はい」
橋本弁護人=「五月四日の山狩りの時、あなた自身、あなたの分隊はどこから出発して、どういうコースで先ほどの芋穴の地点に到達したかを地図の上で示すことが出来ますか」
証人=「捜査本部から下がって来て、途中から山に入ったと思います」
橋本弁護人=「それでその山というのは、どの辺から入ったかは」
証人=「捜査本部を出て南に下がって来て、途中から入ったように思いますが」
橋本弁護人=「途中というのはどの地点か分からないんですか」
証人=「ちょっと分かりかねるんですが」
橋本弁護人=「その第一見取図の⑥とした地点があるんですが、芋穴なんですが」
証人=「はい」
橋本弁護人=「その芋穴の地点に出る直前のあなたの位置はどの辺でしょうか、地図の上では」
証人=「私の記憶では、この地図が逆さまになっているんですよ(この時証人は同第一見取図を逆さまにしたものを見ながら)。はあ、そうですね」
橋本弁護人=「この図面の⑥という地点から北の方、地図の上でいうと二、三センチの所に出て、そこから南下して芋穴の所に到達したと」
証人=「そうです」
橋本弁護人=「そして芋穴の所を通過して、さらにその南側の辺りにある県道に行くという目的だった」
証人=「はい」
橋本弁護人=「そうすると地図の上でいくと、西武線入間川駅から山本製作所方面へ向けて走る道路の方向へ向かって芋穴の付近から進んで行くつもりだった」
証人=「はい、そうです」
(続く)