『原文を読みやすくするために、句読点をつけたり、漢字にルビをふったり、中見出しを入れたり、漢字を仮名書きにしたり、行をかえたり、該当する図面や写真を添付した箇所があるが、中身は正確である』
*
【公判調書3536丁〜】
証人尋問調書
証人=鎌田芳子(二十四歳)
*
福地弁護人=「クラブ活動で遅くなることもあるんですね」
証人=「はい、あります」
福地弁護人=「だいたい普通に練習をすると、学校を出るのが何時頃になりますか」
証人=「四時か五時頃だと思いますけど」
福地弁護人=「卓球部の練習なんかもだいたい同じものでしょうか」
証人=「その日にもよると思いますけど、だいたい同じじゃないかと思います」
福地弁護人=「その頃に学校を出ることが多いんですか」
証人=「はい」
福地弁護人=「その練習で、もっと遅くまで学校に残ることもありますか」
証人=「だいたい同じだったように思いますけど」
裁判所速記官 重信義子 印
*
【公判調書3538丁〜】
証人尋問調書
証人=若狭良江(二十五歳)
*
橋本弁護人=「あなたは昭和三十八年五月一日にあなたのクラスメイトの中田善枝さんが殺されたのを知ってますね」
証人=「はい、知ってます」
橋本弁護人=「善枝さんと同じ学校に通い始めたのは三十八年の四月七日頃からですか」
証人=「はい、そうです」
橋本弁護人=「同じクラスでしたね」
証人=「はい、そうです」
橋本弁護人=「クラスメイトが全部で十七人ですか」
証人=「はい、そうです」
橋本弁護人=「あなたはどういう風にして学校に通っておったんですか」
証人=「私は自分のうちの前からバスで通っておりました」
橋本弁護人=「善枝さんは自転車で通学していましたね」
証人=「そうだと思います」
橋本弁護人=「あなたの当時のお住まいはどこでしたか」
証人=「狭山市広瀬⚫️番地です」
橋本弁護人=「学校であなたの座っている席と善枝さんの座っている席は、どんな関係にありましたか」
証人=「はっきり覚えておりませんけど」
橋本弁護人=「学校の席は名前順に座るんですか」
証人=「ちょっと忘れました」
橋本弁護人=「善枝さんの卒業した中学と、あなたの卒業した中学は違うんですね」
証人=「違います」
橋本弁護人=「三十八年に入間川分校に入ってから善枝さんと付き合うようになったということですね」
証人=「はい、そうです」
橋本弁護人=「高校に入りますと、身分証明書をもらいますね」
証人=「はい、いただきました」
橋本弁護人=「あなたはそれをどんな風に持っていましたか」
証人=「私いつも定期入れに入れて持ってました」
橋本弁護人=「善枝さんが身分証明書をどういう風にして持っていたか、知っていますか」
証人=「ちょっとわかりません」
橋本弁護人=「わからないというのは、もう記憶にないということですか」
証人=「はい、そうです」
橋本弁護人=「それとも、当時から全然知らないということですか」
証人=「全然わかりません」
橋本弁護人=「(東京高等裁判所昭和41〈押〉第187号の2号の身分証明書を示す)あなたが今仰った身分証明書というのは、そういうものですか」
証人=「はい、そうです」
橋本弁護人=「善枝さんが手帳を持っていて、手帳の中にこういう身分証明書をはさんでおいたんだという人があるんですが、どうですか。あなたはそういうのを見たことないですか」
証人=「私見たことありません」
橋本弁護人=「善枝さんが財布を持っているのを見たことないですか」
証人=「ちょっと見たことないです」
橋本弁護人=「善枝さんと一緒に何か物を買ったり、食事したり、そういうことをしたことないですか」
証人=「全然ないです」
橋本弁護人=「あなたは三十八年五月当時、財布を持っていましたか」
証人=「私、持っていました」
橋本弁護人=「どこに持っていましたか」
証人=「私は服のポケットに入れていたと思います」
橋本弁護人=「服というのは学校の制服ですね」
証人=「制服です」
橋本弁護人=「善枝さんが制服のポケットに財布を入れていたかどうか、見たことないですか」
証人=「全然ないです」
橋本弁護人=「見たことがないんですか、それとも見たか見ないか記憶がないんですか」
証人=「全然わからないです、そこのところは」
橋本弁護人=「わからないというのは思い出せないということですか」
証人=「はい」
橋本弁護人=「あなたは善枝さんとは特に親しい間柄ではないんですか」
証人=「別にそんなに親しいということはないんですけど」
橋本弁護人=「普通の付き合いのクラスメイトですか」
証人=「そうです」
橋本弁護人=「一緒に学校から帰るというようなことはなかったんですか」
証人=「片方は自転車ですし、私はバスでしたので、ちょっと一緒に帰るということはございませんでした」(続く)