『原文を読みやすくするために、句読点をつけたり、漢字にルビをふったり、中見出しを入れたり、漢字を仮名書きにしたり、行をかえたり、該当する図面や写真を添付した箇所があるが、中身は正確である』
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【公判調書3534丁〜】
証人尋問調書
証人=鎌田芳子(二十四歳)
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藤田弁護人=「善枝さんの性格なんですがね、あなたがご覧になって明るいとか、暗いとか、神経質とか、どういう風にご覧になりましたか」
証人=「明るい人でした」
藤田弁護人=「快活ですか」
証人=「はい」
藤田弁護人=「男まさりという表現は、あたりますか」
証人=「いや、男まさりと言うんじゃなくて、活発ですけど男まさりではありませんでした」
藤田弁護人=「スポーツなんかは相当するんですか」
証人=「好きでした」
藤田弁護人=「そんなことで特にご記憶に残るようなことがありましたか」
証人=「休み時間になると、よく卓球をしていました」
藤田弁護人=「身知らない人が道端で帰りなんか誘ったらついて行くような性格でしたか」
証人=「いえ、違います」
藤田弁護人=「そういうことは考えられませんか」
証人=「はい、考えられません」
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中田弁護人=「きょうは誕生日だから、お母さんやお姉さんがごちそうを作って待っていると言っていたのは、あなた、よく覚えているんですね」
証人=「はい、そんなようなことを言っていたと思います」
中田弁護人=「休み時間と言われたんですが、午前の休み時間でしょうか、午後の休み時間でしょうか」
証人=「それはわかりません」
中田弁護人=「その日、カレーライスを皆さん食べたようなんですがね、そういう調理の時間が終わって食事を食べる時なんかはいろんな話をしながらみんなで食べるわけですか」
証人=「ええ、やはりいろんな話をします」
中田弁護人=「そういう時の座席の位置や何かは決まっているんですか」
証人=「グループが分かれて決まっていました」
中田弁護人=「あなたは善枝さんと同じグループでしたか」
証人=「違ったように思います」
中田弁護人=「そうすると食事を食べる時に善枝さんと一緒に話をしたということは多分ないだろうということになりますね」
証人=「はい」
中田弁護人=「お昼の時間以外の休み時間ということですね」
証人=「はい」
中田弁護人=「その誕生日だからおうちでごちそうを作って待ってるというような話が、どういうきっかけから出てきたか、覚えてませんか」
証人=「覚えてません」
中田弁護人=「たとえば善枝さんが、何か急に自分で誕生日だということを言い出したとか、あるいは誕生日だという話がどこかで出ていたからだとか、あるいはきょう終わって何をしようかという話の時に出たとか、いろいろあり得ると思いますけど、覚えてませんか」
証人=「覚えてません」
中田弁護人=「善枝さんはクラブ活動などが終わって、学校から帰る時は、あなたなりあなた以外のお友達なりと一緒に帰るということはありましたか」
証人=「普段は一緒の方向に佐野さんという人がいましたので、その人と一緒ですけれども、その日に限って一人で帰ったと思います」
中田弁護人=「善枝さんは早く帰らなければいけないので、その佐野さんに言い訳のために誕生日だという話をしたんじゃありませんか」
証人=「わかりません」
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裁判長=「さっきあなたは本を自分が貸しているのが見つかったんだという風に言いましたね」
証人=「はい」
裁判長=「本の名前は何と言いましたかね」
証人=「女学生の友だったような気がします」
裁判長=「何月号ですか」
証人=「・・・・・・四月号だったかも知れない・・・・・・」
裁判長=「中根敏子さんという人を知ってるでしょう」
証人=「はい、知ってます」
裁判長=「この人は昭和三十八年頃の、事件のすぐあとの裁判に証人として出たんですがね、その日善枝さんに女学生の友の三月、四月号を貸したということを証言しているんですがね」
証人=「だったら続けてとっていたものでもっと前の号かも知れません」
裁判長=「四月号だということは、もちろんはっきりしないわけだね」
証人=「しません」
裁判長=「あなたは善枝さんから借りたようなことはありますか」
証人=「借りなかったように思います」
裁判長=「山下富子さん、中根敏子さんは、今この辺におられるんですか」
証人=「中根さんは知りませんけれども、山下さんはまだ所沢にいると思います」
裁判長=「当時、家庭科・体育の受け持ちだった宇賀神敏枝さんという先生がいましたね」
証人=「はい、いました」
裁判長=「この人はどこにおられたんですか」
証人=「その先生は入間市だと思いますけど」
裁判長=「学校の先生をしているんですか」
証人=「はい、狭山高校に移ったと聞きました」
(続く)