昨日11月3日(文化の日)、埼玉県狭山市稲荷山2-3、航空自衛隊入間基地において「入間航空祭」が開催された。前日まで降り続いた雨は完全に止み、当日は見事な秋晴れに迎えられ、この航空祭が行なわれる日は必ず晴れると囁かれている俗信は見事に現実となった。
昼過ぎ、爆音とともに超低空飛行でブルーインパルス登場。この瞬間から来場者たちは一気にハイな状態に突入。それにしても高度が低すぎる・・・・・・。
老生は今回の航空祭をより楽しむべく、基地外にその見学場所を求め、グーグルアース及びストリートビューから徹底的に調査、3つの候補地を炙り出しその第一候補地に朝7:00より陣取った。待ち時間の間、持参した赤ワインとブルーチーズ=ゴルゴンゾーラ(イタリア産)で舌鼓を打ちつつ、公判調書に目を通す・・・。
ところで入間基地の歴史をたどると、意外なところで狭山事件との関わりが浮かび上がる。日本が太平洋戦争に敗戦した昭和20年、この地にアメリカ軍が進駐しその名もジョンソン基地と呼ばれたが、当然のごとく基地内の食堂関連施設からは毎日のように残飯等が排出された。この残飯を自身が営む養豚場での餌に活用しようと奔走した人物こそ、事件当時に警察の集中捜査を受けた石田養豚場の経営者、石田一義であった。
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『原文を読みやすくするために、句読点をつけたり、漢字にルビをふったり、中見出しを入れたり、漢字を仮名書きにしたり、行をかえたり、該当する図面や写真を添付した箇所があるが、中身は正確である』
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【公判調書3532丁〜】
証人尋問調書
証人=鎌田芳子(二十四歳)
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山上弁護人=「この学校には証人がおられた頃は売店なんかはあったんですか」
証人=「売店というものは特別なかったんですけれども、お昼にだけ小使いのおばさんがパンとか牛乳を売りました」
山上弁護人=「食事を作られた時、特に果物を添えるとか、そういうことは記憶ありますか。五月一日に」
証人=「したかも知れませんけど、よくは覚えてません」
山上弁護人=「あの頃は気候的に果物はないんじゃないでしょうかね」
証人=「わかりません」
山上弁護人=「先ほどの証言で、善枝さんは早く帰りたいと言っていたことは、記憶あるんですか」
証人=「はい、あります」
山上弁護人=「六時限目が終わるのは何時頃になるか、あなたは今覚えていますか」
証人=「三時半か四時頃だと思います」
山上弁護人=「当時の先生の時間割表を見ると、六時限はだいたい二時三十分前後に終わるようにお聞きしておりますがね、どうですか。そう言えば六時限は二時半頃に終わるんじゃないんですか」
証人=「・・・・・・・・・そうです」
山上弁護人=「授業が終われば、各人てんでに帰ることができるんですか」
証人=「授業が終わると、まだ入ったばかりで、クラブ活動をしないと帰れないような規則だったと思います」
山上弁護人=「善枝さんは何か早く帰りたいような事情があったんでしょうかね」
証人=「確か、きょうは誕生日で、お母さんやお姉さんがごちそうを作って待っているとかと言っていました」
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山梨検事=「その日、下校時に雨が降っておって、帰りそびれるというようなことはあったんじゃないでしょうか」
証人=「覚えてません」
山梨検事=「それから、善枝さんが先生に頼まれて郵便局へ記念切手か何かを買いに行ったとかというようなことがありましたか」
証人=「覚えてません」
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宇津弁護人=「先ほど、新入生がクラブ活動をしなければいけないような意味のことを言われましたね」
証人=「はい」
宇津弁護人=「あなたは三十八年四月当時は何というクラブに入っておりましたか」
証人=「バレーボールです」
宇津弁護人=「中田善枝さんは」
証人=「あの人は卓球だったように覚えてますけど」
宇津弁護人=「あなたはその五月一日に放課後バレーボールをやってから帰宅したという記憶がありますか」
証人=「したような記憶があります」
宇津弁護人=「バレーボールは屋外ですか」
証人=「屋外です」
宇津弁護人=「新入生はクラブ活動をしなければならないというのはどういう意味でしょうか」
証人=「やっぱり先輩がしている時に球拾いしたり、そういうことをさせられました。で、帰ると、あとでいろいろ言われるものですから」
宇津弁護人=「バレーボールのクラブ活動というのは、毎日やっていたんですか」
証人=「・・・・・・だいたい何日出ればいいと言われていたかも知れません」
宇津弁護人=「つまり毎日必ず行なわれたということではないわけですか」
証人=「雨が降ったり、そういう時はしませんから」
宇津弁護人=「五月一日は雨が降ったという記憶は、あなたはありますか」
証人=「覚えてません」
宇津弁護人=「五月一日にバレーボールをやったという記憶が本当にありますか」
証人=「それもよくは覚えてません」
宇津弁護人=「五月一日の日に卓球のクラブがやっていたということをあなたは見ることができましたか」
証人=「見なかったと思います」
宇津弁護人=「そうすると、たとえばバレーボール部の下級生が、先輩がトレーニングしているのに球拾いなどしないで帰ると、あとで陰口やら何やら言われるのがいやで、まあ残らねばならないということもあるわけですか」
証人=「はい、ありました」
宇津弁護人=「たとえばバレーボールの練習がある日にあなたの誕生日とか、何かうちに早く帰りたいような事情がある場合には、あなたとしては早く帰れるわけですか、どうだったでしょうか」
証人=「そういう時は部長とか、そのクラブの先生に申し出て、許可を得ると、帰れました」
宇津弁護人=「そうするとあなたは中田善枝さんが放課後残って卓球をやっていたことは見ていない」
証人=「見てません」
(続く)