アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1109

 『原文を読みやすくするために、句読点をつけたり、漢字にルビをふったり、中見出しを入れたり、漢字を仮名書きにしたり、行をかえたり、該当する図面や写真を添付した箇所があるが、中身は正確である』

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【公判調書3448丁〜】

                    「第六十四回公判調書(手続)」

        証拠の開示に関する発言   別紙一記載のとおり

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          別紙一   "証拠の開示に関する発言"

(前回より続く)

松本弁護人=「一九五九年一月の、国際法曹委員会第二回大会の、いわゆるデリー宣言においては、第三部会の刑事訴訟部会小会議において、『被告人は、少なくとも重大な犯罪については、公判前、適当な機会に検察側の証拠の概要を知る権利がある』。更に、検察官の最小限度の義務として、『検察官は、関連性のある証拠をすべて提出しなければならない。若し被告人に有利な証拠で自ら提出しないものがあるときは、適当な時期に被告人又は弁護人に引渡さなければならない』、と宣言しているのであります。米連邦刑事訴訟規則改正第十六条では『原則としてアレーンメント後十日以内に被告の申立てがある時は裁判所の命令により、検察官は、所持管理する人の供述調書、心神(原文ママ)の検査報告書、科学的実験検査結果報告書、帳簿文書・有体物などの開示を求めることができる』と定めております。

最高裁判所昭和四十四年四月二十五日第二小法廷決定の中には、証拠開示について、『裁判所は証拠調に入った後、弁護人から、具体的必要性を示して一定の証拠を弁護人に閲覧させるよう検察官に命ぜられたい旨の申出が為された場合、事案の性質、審理の状況、閲覧を求める証拠の種類、内容、閲覧の時期、程度および方法、その他諸般の事情を勘案し、その閲覧が被告人のため特に重要であり、且つ、これにより罪証隠滅、証人威迫等の弊害を招来する恐れが無く、相当と認められるときは、その訴訟指揮権に基づき、検察官に対し、その所持する証拠を弁護人に閲覧させるよう命ずることができるものと解するを相当とする』と判示しております。つまり裁判所は、証拠開示を命ずることが法的根拠により成し得るものであることを指摘しているのであります。

本件は、原審において、極刑に処せられている事件であります。本件で何より必要なことは、当時の証拠が開示されることであります。極めて近い時期に弁護人に対し証拠を開示すべきであり、又、裁判所はその点について、検察官に対し、強く勧告すべきであります。

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石田弁護人=「我々は、以前から度々検察官に対し、すべての手持ち証拠の開示を求めて来ました。裁判所に対しても、昭和四十三年九月二十四日付検察官に対する求釈明等の申立てと題する書面で、検察官に対し、既に法廷で提出した証拠および弁護人に閲覧させた証拠以外の検察官手持ちの全証拠を弁護人に閲覧させるよう命ぜられるよう申立てた。これに対して、第二十八回公判において、久永裁判長は、命ずることはできない、と言いました。

確かに当時の最高裁判所判例は、検察官に対する証拠開示命令に否定的でありました。当時、立会いの平岡検事は、第二十八回公判期日で、標目をある程度特定されれば別であるが、その特定なく、手持ちの全証拠ということでは提出には応じられない、と述べました。そこで弁護人は、特定のしようがない、手持ち証拠の標目だけでも開示してもらわなければならない、と言っておきました。その後、今日までの間に、何回となく開示を求めて来ました。検察官はこれまでに、私どもが証人尋問の中などで知り得た、幾つかのものをある程度具体的に開示を求めたものの中で、幾つかの開示があったが、まだまだ私どもは如何なる証拠があるのか分かりません。開示は進展していないと言わなければなりません。

(続く)

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ところで、この狭山事件公判第二審が進行していた昭和四十年代とはどのような風景であったか、当時の入間駅などで確認してみた。

(改札口の中)

雰囲気のとても良い駅舎であり、この時代に戻りたいものである。