アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1075

『原文を読みやすくするために、句読点をつけたり、漢字にルビをふったり、中見出しを入れたり、漢字を仮名書きにしたり、行をかえたり、該当する図面や写真を添付した箇所があるが、中身は正確である』

被害者の自転車。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用。

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【公判調書3345丁〜】

「第六十一回公判調書(供述)」昭和四十七年六月十五日

証人=中田健治(三十四歳・農業)

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松本弁護人=「座布団のことですが、それも付けたまま納屋の中に入れておかれたと」

証人=「はい、そうだったと思います」

松本弁護人=「座布団はあなたのご記憶では乾いておったんですか、濡れておったんですか」

証人=「今となっては記憶ありません」

松本弁護人=「紐のことを仰っておりますが、結局何の紐ですか」

証人=「ゴム紐」

松本弁護人=「座布団の紐ですか」

証人=「ゴム紐ですが」

松本弁護人=「何をくくり付ける紐でしょうか」

証人=「もちろん鞄を付ける紐です」 

松本弁護人=「ああ鞄を付ける後ろの紐ですか。何かねえ、サドルの上の座布団をくくってある紐が下がっておったように読める風なことを、仰っておるように、つまり濡れていなかったという意味でですね、下がっておる紐が濡れていなかったというようなことを仰っておるんですが、それは座布団の紐のことじゃないんですか」

証人=「サドルの座布団のことですか」

松本弁護人=「私が聞いておるのは、どう言いますかねえ、あなたの仰っている座布団というのはどういうものですか」

証人=「今まで質問に答えていたのは、紐かけて座布団置いて鞄くくり付ける座布団のことで、今までその件のことについて記憶ないと言って来たわけです」

松本弁護人=「ちょっとはっきりしないんですが、座布団は付いたままだったんですね。どこに付いておったんですか」

証人=「・・・・・・・・・」

松本弁護人=「腰に敷くところなのか、他のところなのか」

証人=「ちょっと意味、よく分からないんですが」

松本弁護人=「サドルというのは分かりますね」

証人=「はい」

松本弁護人=「サドルの上には座布団はあったんですか、なかったんですか」

証人=「あの自転車は付いていたと思います、サドルに」

松本弁護人=「お父さんなり、あなたが発見された時には付いていた」

証人=「付いていたと思います」

松本弁護人=「その座布団はどういう風になったかご記憶ありませんか、その後」

証人=「はい」

松本弁護人=「記憶ない」

証人=「はい」

松本弁護人=「あなたのほうに警察から返してもらったという記憶はありませんか」

証人=「記憶ありません」

松本弁護人=「それから、その日の夜十二時頃に登美恵さんが佐野屋前に行かれるというようなことがあって、証人が休まれたのは何時頃でしょうか」

証人=「時間には記憶ないんですが、床についたのは一時か二時頃だと思うんです」

松本弁護人=「あなたは一人で休まれるんですか、それともほかの方と一緒に休まれるんですか」

証人=「あの時は自分たち兄弟は一部屋に休んでたと思います」

松本弁護人=「あなたはその晩、一睡も出来なかったというようなことを仰ったこともあるようですが、ご記憶ありませんか」

証人=「一睡も出来なかったように記憶してます」

松本弁護人=「それで何か早朝から起きてその付近をいろいろ調べられたということでしたね。家屋敷の中を調べられたということでしたね」

証人=「はい、外のほうは先に父が外まわりは見てて自分もあっちこっちを見ました、父の後」

松本弁護人=「お父さんも起きておられたんですか」

証人=「父も見たように記憶しております」

松本弁護人=「あなたと同じ頃に起きられたんですか」

証人=「自分より早かったように思ってますが」

松本弁護人=「あなたは結局何を調べられたんでしょう。ご記憶あればですけれども、主にどういうところに重点を置いて調べられたんですか」

証人=「あの当時は足跡ということきり、自分には記憶ないんですが」

松本弁護人=「足跡を調べたんですか」

証人=「足跡を見たと・・・・・・」

松本弁護人=「どこにも付いておりませんでしたか」

証人=「ほとんど記憶ないんですが」

松本弁護人=「自転車がスタンドで立ててありましたね。そこの付近には結局、足跡は見つからなかったんですか。これはまあ、一日の晩に警察が来て自転車を調べていったということですけれども、その時に自転車の付近には雨で濡れた靴で歩けば残っておると思いますけれども、特に残ってなかったんですか」

証人=「その朝は自転車が置かれたとこ、というよりも、西脇から裏の林の方にかけて見たように記憶しておるんです」

松本弁護人=「警察官が足跡を、特に自転車の置かれておる周辺の足跡について調べておったかどうか、ご記憶ありませんか」

証人=「夜十二時頃には自転車の周辺はよく見ておりました」

松本弁護人=「結局、何も発見出来なかったんですね」

証人=「そうです」

(続く)