【公判調書1608丁〜】
「現場足跡は偽造された」 植木敬夫
四、鑑定の怪
(三)『われわれは、どうやら結論に近づいた。
鑑定資料とされた「現場足跡」なるものは、現場にあった足跡ではなく、第三者(恐らくは加藤技師)に、現場の土で印象させた足跡であると、われわれは考える。この証拠のすり替えのためにこそ、科学的に不必要な加藤技師の印象実験を行なったのであるし、実況見分調書の不可解極まる作り方や、自白させる際に、実況見分書上の足跡の位置や形状を少しも考慮しているように見えないことも、すべて、このすじ替え(原文ママ)を隠すための下手な工作であったのである。
ともかく、この鑑定で「現場足跡」なるものの拇趾と他の四趾の落差という最大の特徴において、被告人の印象実験による足跡と大きく異なる以上、右の「現場足跡」が被告人のものではないことだけは、間違いない事実である。以上』
*弁護人=植木敬夫による意見は以上である。次回は弁護人=宇津泰親の意見を引用する。