アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 464

【公判調書1570丁〜】(前回より続く)

                      「狭山事件の特質」

                                                                       中田直人

10.(後半)『別件逮捕を巡る論争は、本件の警察のやり方に対する批判から本件そのものについての疑惑を生みながら、やがて被告人の勾留満期を迎えた。

六月十三日、検察官は被告人の自白した窃盗、森林窃盗、傷害、暴行、横領等九件を起訴した。本筋の善枝さん殺しについては、僅かに捜査の手掛りを許していた恐喝未遂事件はついに起訴することが出来なかった。世間の批判は決定的に強まった。警察の黒星は二重に重ねられた。全警察が鼎(かなえ)の軽重を問われるに至った。六月十四日、弁護人は保釈、勾留理由開示、勾留取消しの各請求をなし、同日、浦和地方裁判所川越支部は、六月十八日午後一時に勾留理由開示期日を決定した。同裁判所は勾留理由開示が予定されていた十八日の前日、六月十七日保釈請求を容れ被告人を保釈した。

ところが、被告人は直ちに本件強盗強姦殺人で再逮捕され、身柄を狭山署から川越署に移された。

本件捜査段階および一審段階において主任検察官であった原検事の証言によれば、「強盗、殺人の令状で逮捕しなくてはならないということは、証拠さえ集まればなるべく早い時期にしたいと思っていた。証拠を集めるのに全検察官をあげていた。令状を取ったのは六月十六日であるが、そのための準備は一生懸命やってきた。被告人を最初に逮捕した五月二十三日から六月十六日の間は、全く新しい証拠が突然出たというのではなく、手拭い、タオル、スコップを絞って範囲を狭めていくと残るのは石川だけということになり、その当時までに逮捕状を取るだけの資料が集まった」と言っている。この証言は、いわゆる再逮捕について新たな資料が存在しなかったことを裏書きしていると言ってよい。確かに一審における検察官証拠請求から見ると何人かの参考人調書が作成されている。しかし、石川正雄、小林芳夫、海老沢秋太郎ら、被告人の生活、性格、女性関係などを含め、目新しい証拠は皆無といってよい。原証言が、六月五日に警察官調書、六月八日に検察官調書を作成されている内田幸吉や、被告人の取調べ中に声を聞かせたり、テープをとったりしたのちに作成したと思われる六月十一日付増田秀雄・警察官調書、六月十四日付中田登美恵・検察官調書、同日付増田秀雄検察官調書等の存在に触れていないのは興味深い。

声の点から言えば、被告人の犯行を裏付けるに、程遠いものであったことは増田秀雄、中田登美恵らの一審証言で明らかであるが、内田幸吉が一審で強力な証言をした人物であり、被告人の面通しもしていることが明らかであるのに、再逮捕にあたって検察官の考慮の外にあったという事実は、同人の当審証言の不可解と相まって同証人の証言に無限の疑いを起こさせるものである』(続く)

*本文とは全く関係ないが、安焼酎のお湯割りに柚子の切れっ端を浸し三分待つと、器の中の液体は劇的変化をもたらし、もしかすると北大路魯山人ですら卒倒するかも知れないほどの美酒に仕上がる。果物の切れ端を酒に浸すという行為を応用し、例えばメロンやトマト、リンゴ、イチゴなどでは効果はどうか?などと相変わらず貧乏人的な飲酒方法開発に時間を費やす。