アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 463

【公判調書1569丁〜】(前回より続く)

                         「狭山事件の特質」

                                                                       中田直人

10.『新聞は、「容疑者石川一雄」のことを大々的に報じ、本件は落着と報道するものまであった。一方、当初、別件で逮捕することはしないと公言していた警察に対して、本筋の強盗、強姦殺人による逮捕がなかったことについて当然非難の声が起こった。「別件逮捕」が流行語とさえなった。被告人は、逮捕後から直ちに窃盗、暴行等の被疑事実を自白し、余罪についても、主として石田一義、その弟石田義男、東島明らの共犯になる鶏二羽、カヤ百二十束、材木十六本、鶏三羽等の窃盗事件、関口健一に対する傷害事件等を次々に自白した。六月四日、石田一義、東島明が、被告人の自白した材木窃盗等の容疑で逮捕された。両名を本件善枝さん殺しの共犯容疑と報じた新聞もないではないが、多くの新聞は一致して両名の逮捕が石川追及の切り札であり、被告人についての情報提供を求めるためであるとしていた。六月五日付読売新聞は、上田県警本部長談話を載せ、それによれば「両名の逮捕はあくまで窃盗容疑であって、殺しとは直接関係ない」と伝えている。石田義男の証言によれば、彼もまたそののち逮捕されたという。記録上うかがえるその後の経過で大きな問題は、六月五日、内田幸吉、内田くに夫妻から「五月一日夕刻、中田栄作方を訪ねて来た男がある」という情報がもたらされたこと、六月一日付で関根政一、吉田一雄の筆跡鑑定書が、又六月十日付で長野勝弘の筆跡鑑定書が作成されていることである。それらを除いては特段進展は見られず、被告人は本件について頑として否認を続けた』

(*10の後半は次回に続く)

事件当時の様子を伝える新聞。(写真は“無実の獄25年狭山事件写真集・部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部編・解放出版社”より引用)