【公判調書1430丁〜】証人=遠藤 三(六十七才)・元警察官
裁判長=「証人は警察官として勤めていたことがありますか」
証人=「あります」
裁判長=「警察官になったのはいつですか」
証人=「大正十二年十月です」
裁判長=「退職したのはいつですか」
証人=「昭和三十九年三月三十一日です」
裁判長=「証人はここにいる石川一雄を知っていますか」
証人=「知っております」
裁判長=「どういう関係で知っているのですか」
証人=「石川を調べた関係で知っております」
裁判長=「この事件の狭山の中田○○(被害者名)ちゃん殺し事件で調べたのですか」
証人=「そうです」
裁判長=「その前は知らなかったのですか」
証人=「知りませんでした」
裁判長=「石川一雄が検挙されたとき証人はどこに勤めていましたか」
証人=「県警本部捜査第一課です」
裁判長=「その前はどこにいたのですか」
証人=「大宮県警署です」
裁判長=「県警本部に変わったのはいつですか」
証人=「昭和三十四年十二月だと思います」
裁判長=「県警本部では初めから捜査一課ですか」
証人=「そうです」
裁判長=「退職当時はやはり県警本部でしたか」
証人=「そうです」
裁判長=「石川一雄の事件の捜査にはどういうことから、いつごろ、誰の命令で関与するようになったのですか」
証人=「昭和三十八年五月初め、一課長の命令によってです」
裁判長=「中田○○(被害者名)という被害者の死体が発見される前ですかあとですか」
証人=「前です」
裁判長=「どういう事件として捜査に従事することになったのですか」
証人=「脅迫でしたか恐喝でしたか」
裁判長=「被疑者は分かっていたのですか」
証人=「分かっていません」
裁判長=「それからどういう仕事をしたのですか」
証人=「私は聞き込み捜査です」
裁判長=「それだけですか」
証人=「それだけです」
裁判長=「あとは何も仕事をしなかったのですか」
証人=「とにかく捜査で、大体聞き込みでした」
裁判長=「聞き込みだけ」
証人=「はい」・・・(続く)
*聞き込み捜査だけ・・・。証人として召喚した意味があるのかと、裁判長が思ったかどうかは分からない。しかしこの後、遠藤証人は予想を遥かに超えた詳細な証言を行う。
ところでここは東京競馬場であり、昨日で三週連続の訪問である。収支は当然マイナスであり、この公営ギャンブルの恐ろしさを身をもって知る。とは言え、つい万馬券に淡い期待をし、パドックで本日闘う戦士達を見つめた。一頭がしきりに老生を振り返り首を縦に振るのを確認、おお、重要なシグナルを送ってきたではないかと、背番号を記憶し小走りで馬券売り場に向かった。結果は惨敗であり、期待を込め千円ほど賭けた例の馬を探すと、いた。ところがこちらを振り返ったその顔は、明らかに笑っていた・・・。五百五十円も払わされた競馬新聞は、雲を掴むような予想で埋められ、つまりこの「競馬」という博打は、運任せの、しかも金がかかる暇つぶしと言える。少なくとも老生はそう結論づけた。ちなみに東京競馬場は入場料が二百円であり、場内には警備員や係員が至る所に居り、セキュリティは万全である。魅力は内馬場の芝生エリアにある。ここで横になり、のんびり読書と決め込むことだ。ここの開放感を味わうと競馬以上にはまってしまう。売店で酒を買い裁判記録を読む・・・。下手な図書館より読書に集中出来る・・・。