【公判調書1407丁〜】(前回より続く)
証人=青木一夫(五十三才)・警察官(証人として出頭時は草加警察署長)
裁判長=「その調室は畳敷ですか」
証人=「はい。畳敷の部屋の時もありましたし、雨が降った時があってその折にはそこに雨が漏ったので板張りの部屋に机を置いて調べたこともあります」
裁判長=「そうすると、書くときは全部机の上でしたか」
証人=「はい」
裁判長=「その部屋の畳か板張りか、その上にゴム板みたいなものを敷いてその上で石川に書かせたということはありませんか」
証人=「はっきり覚えがありませんが、あるいはあったかも知れません。下敷きだとすれば私共が使っていたのにはセルロイドの下敷きがあったので、そういうものならあるいは使ったかも知れません」
裁判長=「そのセルロイドの下敷きというのはどの程度の大きさのものですか」
証人=「せいぜい半紙版程度のものです。これもはっきり記憶があるわけでなく、使ったかも知れないということです」
裁判長=「図面を石川が書くときには何かを見て書いたのですか」
証人=「見て書いたということは無いと思います」
裁判長=「頭の中で考えたことを紙に書いたわけですか」
証人=「はい」
裁判長=「調書に付いている図面は全てそうですか」
証人=「はい」
裁判長=「例えば石川が自分の記憶を辿るために、貰った紙にあらかじめ書いて見て、それを清書するという様なことはありましたか、ありませんでしたか」
証人=「清書というかどうか分かりませんが、書いて間違って、書き直したということはあったかも知れません」
裁判長=「書き直し以外に、あらかじめ大体書いて見て、それをもう一度綺麗に書くということはなかったのですか」
証人=「はっきり覚えがありません」
(続く)
*都合が悪いとき証人たちは「覚えがない」「忘れた」「記憶がない」と法廷でのべることが狭山裁判では常態化している。この様な証言を発した者は、いずれあの世で閻魔大王に極刑を下される。手下の餓鬼が手ぐすね引いて待っているであろう。私も気を付けねばならぬ。
(写真は“餓鬼”)