弁護人=「昭和三十八年の五月頃、入間基地の食事時間がどういうようになっていたか憶えておられますか」 証人=「はい」 弁護人=「仰ってみて下さい」 証人=「これは入間基地服務規則というのが定まっておりまして、入間基地達五号に基づきまして食事時間が決められております。通常、土曜日曜、それから祭日を除く日はですね、朝は六時三十分から七時十分までが食事時間です。昼につきましては十二時から十二時五十分までです。夕食につきましては十七時から十七時四十分までです」 弁護人=「土曜、日曜、祭日はどういう風に違うんでしょうか」 証人=「土曜、日曜、祭日につきましては、朝七時から七時四十分までです。それから昼は十一時から十一時五十分までです。夕食は十六時から十六時四十分までです。これは祭日および日曜日ですね」 弁護人=「そうすると、土曜日は含まれない」 証人=「土曜日は、夕食のみが祭日と休日に準ずるということになっています」 弁護人=「そうすると、日曜、祭日は朝は遅くなって、昼は早くなるわけですね」 証人=「そうです」 弁護人=「で、土曜日は夜だけが、日曜祭日と一緒になると」 証人=「はい」 弁護人=「ところで、あなたの知り得られる限りで結構なんですが、残飯の払い下げを受けに来る石田さんの方では、今の時間関係から言って、およそ、毎日何時頃取りに来るかあなたに分かりませんか」 証人=「通常、業者の方も基地の日課をご存知ですから、大体食事が終了した頃に受領に来ております」 弁護人=「今仰った食事時間の終わりの頃に来ると」証人=「はい」 弁護人=「ついでに伺っておきますが、石田さんに限ってでいいですが、石田さんは、あなたが事務を執っておられる所に食堂がありますね」 証人=「はい」 弁護人=「その食堂以外からも残飯の払い下げを受けておりますか」 証人=「そこ、私分かりません」 弁護人=「基地の中に幾つ食堂がありますか」 証人=「自衛隊は現在私どもにあるだけです」 弁護人=「あの飛行場に寄った所に自衛隊の食堂ありませんか」 証人=「あれは自衛隊の食堂ではございません。業者が委託賄いをしておる所でございます」 弁護人=「そこの残飯も払い下げを受けておるかどうか分かりませんか」 証人=「私には分かりません」 弁護人=「それから、稲荷公園の駅の真ん前にある第二ゲートですか」 証人=「はい」 弁護人=「第二ゲートからずっと入って右手の方に折れまして、アメリカ軍の食堂がありませんか」 証人=「右ですか」 弁護人=「右に折れて」 証人=「あります」 弁護人=「そこの残飯をも集めておるかどうか、あなたには分かりませんか」 証人=「ちょっと私、分かりません」 弁護人=「それでは、あなたのご存知の範囲に限って伺いましょう。業者の人が、定められた日課の食事時間が終わった頃に大体取りに来るわけですね」 証人=「はい」 弁護人=「業者の方の都合で、早くなったり遅くなったりすることがありますか」 証人=「たまにはあったような気がします。記憶があります」 弁護人=「あなたの方の都合で、日課が変更になったりあるいはその他の理由で、特に早く取りに来いというような事を指示されることがありましたか」 証人=「ありました」 弁護人=「どういう場合でしょう」 証人=「通常、それは残飯の量が非常に山積量が多い場合ですね。それからもう一つは、監査のような場合には通常こちらの方から指示をしまして、早く来てもらった場合もありました」 弁護人=「そうしますと、残飯の量が多い時なんかは電話か何かで知らせるんですか」 証人=「そうです」 弁護人=「早く来いとかけるわけですね」 証人=「はい」 弁護人=「そして、特に早く取りに来させることがあったわけですね」 証人=「はい」(続く)
*ここでは入間基地での食事時間が判明した。そして業者が残飯を受領に来る時間も食事が終了した頃と判り、すると昭和三十八年五月一日は祝日であるから、夕食後の残飯回収時刻は十六時四十分過ぎ頃と思われる。残飯の回収作業にかかる時間が知りたいところであるが、いずれにせよ回収を終えた石田養豚場のトラックはこの後、入間駅近くで休んでいた石川一雄被告人に目撃される。さて、その目撃時刻は妥当な時刻だったかどうか。
ネットで事件の起こった日を確認してみた・・・。
疾走する石田養豚場のトラックが描かれているが、この写真は「劇画・差別が奪った青春・解放出版社」より引用。