裁判長=「証人は今、航空自衛隊に行っているわけですね」 証人=「はい、そうです」 裁判長=「階級は」 証人=「一等空曹です」 裁判長=「今の係は何ですか」 証人=「庶務係長です」 裁判長=「もっと事務の系統を全部言って下さい。自衛隊のどこどこの何ということを」 証人=「中部航空警戒管制団基地業務部業務隊給養小隊庶務係長です」 裁判長=「昭和三十八年、今から五年前ですが、三十八年の五月一日頃は、どこで何の仕事ですか。所属はどこですか」 証人=「中部航空警戒管制団基地業務部業務隊給養小隊の庶務係長をやっておりました」 裁判長=「現在と同じです」 証人=「はい」 裁判長=「仕事はどういうことをするんですか」 証人=「私の仕事は給食、糧食関係の書類の整備関係の監督指導です」 裁判長=「三十八年五月一日頃はどういう仕事をしていましたか」 証人=「事務長です。通常、事務係長と言ってますが、その当時は事務長と言ってました」 裁判長=「そうすると、庶務係長じゃないんですね」証人=「はい、現在は事務係長という名称は変わりまして、庶務係長という全体的な指導監督ということです」 裁判長=「当時の担当の仕事はどういうことですか」証人=「事務関係の全般的な指導監督です」 裁判長=「給養のですね」 証人=「はい」 裁判長=「この給養というのは、隊員の食糧、それのことですか」 証人=「そうです」 裁判長=「それの支給とか」 証人=「はい、調達支給です」 裁判長=「その係は何人位おるんですか。三十八年五月一日当時」 証人=「事務所、倉庫を入れまして、大体十名位です」 裁判長=「現在は」 証人=「現在は十二名です」 裁判長=「その事務所は当時どこにありましたか」 証人=「現在と同じ場所にあります」 裁判長=「入間市黒須八十五番地」 証人=「はい、そうです」 裁判長=「自衛隊の中にあるわけですね」 証人=「はい、そうです」 中田弁護人(以下、弁護人と表記)=「昭和三十八年五月頃、仕事をしておられた事務長の職務内容には、お宅の基地で出た残飯の処理などの仕事も含まれておりましたか」 証人=「入っておりました」 弁護人=「石田一義という人をご存知ですね」 証人=「はい、よく記憶しておりませんが、写真を見れば分かるんじゃないかと思います」 弁護人=「先程、航空自衛隊の中部航空警戒管制団と難しい名前で言われたんですが、三十八年五月頃は入間基地と呼ばれていたんじゃないですか」 証人=「今も入間基地です」 弁護人=「そうすると、入間基地というのは」 証人=「入間基地には沢山の部隊がありまして、その中の中部航空警戒管制団が業務を全部担当しているわけです。弁護人=「そうすると、入間基地として伺いますが、入間基地の食堂などで出た残飯を業者に払い下げておられるでしょう」 証人=「はい」 弁護人=「そういう仕事をあなたはなさっておられるわけですね」 証人=「私は実際に担当しておりません。係の人間が担当しております」 弁護人=「あなたも職務上知っておられるわけでしょう」 証人=「そうです」 弁護人=「その払い下げを受ける業者の一人として、石田一義さんは入間基地のほうに出入りしておられたでしょう」 証人=「はい」 弁護人=「そういう意味で、石田さんご存知ですね」証人=「そういう意味でしたら知っておりますが、面識はちょっと記憶ありません」 (続く)
狭山の黒い闇に触れる 319
【公判調書1237丁】 今回、証人として法廷へ召喚された方は航空自衛官である。狭山事件裁判に、なぜ自衛官が・・・。早速読み進めて見よう。 証人=須藤晃。年令=三十八才。職業=航空自衛官。住居=埼玉県入間郡日高町大字森戸・自衛隊官舎。