狭山の黒い闇に触れる 315
【公判調書1231丁〜】 証人=金子金三(二十九才・青果物商) 問うのは植木敬夫弁護人(以下、弁護人と表記) 弁護人=「あなたのお宅の場所をちょっと聞いておきたいんですが、道の向かい側に郵便局がありませんでしたか」 証人=「ありました」 弁護人=「あなたの家は郵便局真ん前でしょうか、それとも多少どっちかにずれていましたでしょうか」 証人=「郵便局の左側ですね」 弁護人=「そうすると郵便局の真ん前よりは坂の下の方へ」 証人=「ずれています」 弁護人=「何軒、家の数で言えば」 証人=「三軒目です」 弁護人=「それでこの石川一雄ですけれども、石川という苗字であり、一雄という名前であるということまで知っておりましたか」 証人=「名前までは覚えていません」 弁護人=「石川ということは知っていた」 証人=「ええ」 弁護人=「今から八年くらい前と言いますと、事件が五年くらい前ですから、事件の起こる三年くらい前と、こういう風に考えていいわけですか」 証人=「・・・・・・・・・」 弁護人=「大体それぐらい前から知っておると考えていいんでしょうか 証人=「・・・・・・・・・」 弁護人=「分からない」 証人=「はい、分かりません」 弁護人=「まあ、どんなことでその、顔見知りになったんでしょうか」 証人=「分かりませんね、忘れました」 弁護人=「まあ最初顔見知りになったいきさつはどうでもいいとして、普段は、例えばどんな所で顔を合わせるようなことがありました」 証人=「普段は大体、合しては、あんまり、あれじゃない・・・・・・」 弁護人=「例えばあなたがパチンコ屋に行ったら石川も来ておって顔を合わしたということもありましたか」 証人=「たまにはありました」 弁護人=「例えばあなたオリオンというパチンコ屋知っていますか」 証人=「ええ、知ってます」 弁護人=「そのオリオンというパチンコ屋に行ったことありますか」 証人=「あります」 弁護人=「そのオリオンというパチンコ屋で石川と顔を合わしたということはありましたか」 証人=「たまにはありました」 (続く)