(私的実地検証を兼ね、老生は何度もこの付近を訪れたが、毎回出発前に呑んだ焼酎が災いし、現場到着後、茶畑や農作物で満たされた貴重な現代遺産の中、千鳥足でさまよい、帰宅途中の小学生群に指を指され、やむなく撤収を決めること度々。彼等から見ると老生が不審人物そのものであり、通報の対象であったようである。速攻で帰宅、焼酎を飲み直す)
狭山の黒い闇に触れる 309
【公判調書1222丁】 今回、法廷に呼ばれた証人の氏名=横田権太郎、年令=六十六才、住所=埼玉県狭山市沢四丁目、職業=農業。 裁判長=「今住んでいる所は、沢の四丁目の六番地と言いましたね」 証人=「はい、そうです」 裁判長=「これは、いつ頃から住んでおるんですか」証人=「親の代から住んでいます」 裁判長=「沢というと狭山市、入間川、入曽とかあるんですが、どこになるわけです」 証人=「狭山市の、まぁ大体入間川の大体東の端になっています」 裁判長=「そうすると」 証人=「西武線の南側になっています」 裁判長=「そうすると加佐志の方ですか」 証人=「加佐志寄りの方です」 裁判長=「 東中学校という学校がありますね」 証人=「あります」 裁判長=「あのどの方向になりますか」 証人=「東中学の北西にあたります」 裁判長=「そうすると西武線寄りの方ですね」 証人=「そういうことです」 裁判長=「前から沢という大字ですか」 証人=「そうです。もうよほど古いらしいんですが、三百年か四百年経っているらしいんですが」 裁判長=「古いことをお聞きするんですけど、昭和三十八年の五月の一日ということになっていますが、その頃にこの入間川の○○(被害者名)ちゃん殺しという、女学生が殺されて、脅迫状がその家に行ったというような事件があったんですが、そのことを覚えていますか」 証人=「もう久しい事でよくは覚えていませんけれども、大体その当時の・・・」 裁判長=「どうして分かりました。どこからか聞いたんですか」 証人=「そうですね、だいぶ警察や新聞記者が騒いで来ましたから」 裁判長=「あなたの家へ行ったんですか」 証人=「ええ、家へも随分来ましたね」 裁判長=「警察の人や新聞記者などが証人のうちへ行った」 証人=「はい、来ました。うちへ来ましたし、畑へ行ってると畑にも来ました」 裁判長=「それは五月のいつ頃です」 証人=「五月・・・・・・三日、四日頃だったと思います」裁判長=「その○○(被害者名)ちゃんという娘の死体が発見されましたね」 証人=「はあ」 裁判長=「その後ですか、前ですか」 証人=「前もあったと思いますね」 裁判長=「死体が発見されたことは新聞ででも見ましたね」 証人=「そうですね。新聞で見ましたし」 裁判長=「その前にも来た」 証人=「ええ、その前にも来ておりました」 裁判長=「警察も新聞記者もですか」 証人=「はい」 裁判長=「後も来たわけですね」 証人=「ええ、後も来ました」 裁判長=「何か、あなたの家は、その事件の起こった場所に近いんですか」 証人=「まぁ、そういうことらしいんですがね」 裁判長=「実際にこの中田○○(被害者名)さんという娘が殺された場所や、それから死体の埋められたという場所はどの辺であるかということは、あなたは誰かから聞きましたか」 証人=「そうですねぇ。まあ世間でもそういう話だし一応はその場所に行って見ました。ずっと後になってからですけど」 裁判長=「その場所とあなたの家とは、歩いてどの程度時間がかかりますか」 証人=「そうですねぇ、歩いて二十分以上かかりますね」 裁判長=「その事件の犯人だということになっておるんですがね、その石川一雄という人を知っていますか」 証人=「全然知らないです」 裁判長=「会ったことも見たこともない」 証人=「それは会ったかもしれないけれども、全然知らない人だから別に記憶はありません」 (続く)( 上下の写真は狭山事件資料より引用)