(狭山事件公判資料より引用。今、老生はこのようなモノクロ写真をカラー化できる無料アプリを捜索中である。)
狭山の黒い闇に触れる 307
【公判調書1218丁〜】 弁護人(中田直人)=「あなたの畑が面している道を真っ直ぐ南の方へ進んでいくと、林の中に入るのを知っていますか」 証人(横山ハル)=「はい、知っています」 弁護人=「その林の中で、なにかちょっと背の高い杉が三本か四本、高く見える林があるのを知っていますか」 証人=「あれだっていう話は聞いたんですけど、どっちだかよく分からないんですけど」 弁護人=「先ほど裁判長からもお聞きになったところですが、死体が出てきた場所がどこかということは今は知っておられますか」 証人=「知りません。ただ、向こうの方だという指差しでは教えてもらいましたけど」 弁護人=「さっき聞いた三本か四本杉が見える場所は分かりますね」 証人=「この辺じゃないですか」 弁護人=「この地図で見ますとこの辺なんですがね」証人=「そうですか、それじゃ分からないです」 弁護人=「方向としては分かりますね、あなたの畑の南の方ですね」 証人=「ええ、南西の方にあたっていますね」 弁護人=「その南西の方に死体があったんだということは後で聞いてるんですね」 証人=「ええ」 弁護人=「ところで、あなたとご長男で桑畑の仕事をしていらっしゃる間に、あなた方の畑が面している十字路から、今聞いた、林の方に向かっている道を高等学校の制服を着た女の人と、男の人が通るのを見たことがありますか」 証人=「ありません」 弁護人=「今聞いた道は、当時人通りの多い道ですか」 証人=「人通りはあんまりなかったんです」 弁護人=「ほとんどあまり人は通らない道ですか」 証人=「そうですねぇ、まぁ仕事をする人は通りますけど」 弁護人=「畑を持っていて仕事をする人ね」 証人=「はい」 弁護人=「さっきの、あなたの家の畑の位置ですが、この地図の①地点からこの地図で言うと、ずっと下がって来ますと両側に畑、畑と書いてありますね。この左側の辺りになりますか」 証人=「ええ、こっちから地図を見ると左です」 弁護人=「そうすると先ほどのお話だと、大体①と書いてある十字路から四十メートルくらい来た所から、あなたの家の畑が始まるわけですか」 証人=「ええ、そうです」 弁護人=「この道に沿って細長い畑があるわけですね」 証人=「そうです」 弁護人=「この道に沿って細長い畑ということですけど、奥行きは道から何間位の畑ですか」 証人=「一番北側の方は、十五間あるでしょうか。平らに長い畑じゃないんです。北側がいくらか出っぱってまして、それで少しこう来て、もう少しまたちょっと狭くなって、こうしてこっちへずっと長くなっているんです。三段階になっている畑なんです」 弁護人=「一番奥行きのある所は一番北側で、それが十五間位で、それから三段階で少しずつ狭くなりながら」 証人=「はい、一番南側は十間位です」