速記録の日付けは、昭和四十三年九月十七日。 弁護人=「狭山の警察にいる時に、原検事がどんなことを主に調べていたか憶えていますか」 被告人=「主に、前にも申し上げましたがセルロイドみたいなものの中に字が書いてあって、それを写して書いていました。それを主にやらせられました」 弁護人=「そのセルロイドの中というのは、この事件で問題になっている脅迫状でしょう」 被告人=「それは、はっきり判りません」 弁護人=「セルロイドの中のものを写していたわけですね」「○○(被害者名)ちゃんを殺したかどうかということについて、原検事は調べていましたか」「どういう聞き方をしていましたか」 被告人=「殺したろうとか、車で運んだだとか、結局私のことを聞いたのは、どういう風に運んだか説明できるかと、そういうことです」 弁護人=「車で運んだろうということを聞いていたわけですか。殺して」 被告人=「はい、そうです」
*実のところ、警察は当初、遺体の運搬について、犯人らが車で運んだとみていたことが上記の問答から推測できる。そして、その見方は正解だったのかもしれない。