アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 245

事実取調請求書・請求する証拠の番号=23                         石川一雄被告人は川越警察署分室で取調べを受けていた時、近所から聞こえる時計の鐘で、その時刻が深夜にまで及んでいることを知るが、この事を取調官に告げた日から時計の音は聞こえなくなった。証拠番号23は、その時計を所有する家人を証人として請求しており、ここで証明されるべき事柄は「被告人は証人方の時計で時刻を知ったが、取調官に告げると時計の音が聞こえなくなった事実」とある。証人に対する尋問事項は次の通り。①証人の家は、川越警察署分室に隣接しているか。②証人の家の宗教はなにか。毎日お経をあげるのが。③証人の家の時計について、どんな時計がどこに置いてあるか。④昭和三十八年六月末か七月はじめごろ、時計のことについて警察から何かを言われたことがないか。⑤被告人が右分室に留置されていたことを知っているか。被告人に対する取調べの模様を聞くことができたか。以上、5点であるが、この証拠番号23が本来証明すべき点を考えてみると、被告人が深夜にまで及ぶ取調べを受けた事実ではないかと私は思うのである。つまり違法な取調べがあったことの証明である。警察にとって、被告人が時刻を把握することは、その長時間の取調べが裁判で不利に働きかねない恐れがあり、時計の音を途絶えさせた事実も重要であるが、「主・従」で考えてみると、私はいま述べた結論に達するのであった。                                                     

(魔の時間・筑摩書房)