アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 239

事実取調請求書・請求する証拠の番号=14                          【E】昭和三十八年五月六日付朝日新聞夕刊三版七面(一)「新事実つきとめる  下校中にも目撃者  容疑線上に三人の男」という見出しのある記事。(二)「元作男が結婚前に “自殺”    被害者宅で働いていた」という見出しのある記事。【F】(一)EおよびGの一については証拠物。(二)EおよびGの二については法第三二八条書面。【G】(一)特捜本部は、被害者の自宅に近く、三日未明身代金引渡しの際、捜査当局が遠巻きにした警戒網のなかに住んでいるAに疑いが濃いとしているが、一日午後、被害者が自転車に乗って帰宅する姿を中学生奥富孝志が見かけているのを聞込み、また、日本手拭は五十子米穀店が得意先のことを調べ、手拭が配られていることを調べ、手拭と一緒に、堀兼農協が農産物を出荷している東京築地の丸京青果の荷札が死体から見つかったので、有力容疑者Aらとの関連について調べている旨の報道記事がある事実。(二)9の書証のG一と同じ。【H】(一)G一記載の趣旨の記事。(二)農薬投身自殺した奥富玄二さんは、死んだ被害者の家に作男として働いていたことがあるので、捜査本部で調査している旨の記事がある。以上。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。むう、前回の13に引き続き、請求証拠番号=14も強敵である。ある一つの項目の中に、異なる二つの文章を入れ、一枚の夕刊を証拠に、それぞれの文章を証明する、大ざっぱに言えばそのような表記である。そもそもが裁判記録であるから、難解・複雑・紛らわしいことはどうでもよく、むしろ法曹関係者には喜ばれる書き方なのかも知れないが、暇な私には勉強になる点もある。例えば【G】(一)の記述は文章という面から見た場合、非常に分かりづらいことに気付く。いや、中にはスラスラと読み進め一発で内容が理解できる御仁もいるだろうが、私の能力上、まず、なぜ分かりづらいのかを分析しなければならない。この分析が勉強となる。修飾する側、される側や、文の順序を入れ替えてみる、などの限られた知識を手懸りに観察した結果、次に挙げる分析に到達した。【G】(一)の3段目「〜Aに疑いが濃いとしているが」・・・ここまでは分かる。しかし接続助詞「が」とある以上、文中のどこかにそれを「受ける」言葉があり、それは【G】(一)9段目「〜関連について調べている」にかかってくる。すると、この間述べられている、中学生の目撃者、手拭、荷札、これらの情報が多すぎ、修飾する側とされる側の距離が遠くなり、これが原因で文章として分かりづらくなっていると考え、試しに改訂文を作成してみた。    
「特捜本部は、三日未明の身代金引渡しに現れた男が現場付近に住むAとの疑いを強めた。さらに事件当日、被害者が自転車で帰宅する姿を見た目撃証言や、五十子米穀店の手拭配布先、被害者埋没現場から発見された荷札などを含め、Aとの関連を調査中である」    
修飾する側、される側を直結し、文章を一旦終わらせる。その後に細々とした捜査状況を羅列し、「〜などを含め」と集約、「〜捜査中である」と締めた。中々分かりやすい文章になった気がするが・・・。                    

(写真は“無実の獄25年・狭山事件写真集・部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部編・解放出版社より引用)