アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 223

六月二十九〜三十日の捜索では腕時計は見つからなかった。だが七月二日になって腕時計発見の報が入る。二日間の捜索に加わっていた飯野源治警察官は、その発見地点について「ちょっとわかりにくいところにありましたが、捜索をもう少し広くやっておけばよかったというふうには思いました」と述べる。弁護人は、腕時計が発見された地点について、被疑者が書いた略図に示された場所と、実際の発見場所を見て、飯野源治自身がどう感じたかを問う。「そのときは特に思いませんでした。図示された場所と若干違うということ、事件のあった五月一日から七月二日というと相当の期間があるという点から、あるいはの話ですが、誰かが、警察が捜したのでこっそりその付近にもどしたかな、という解釈も若干ありました。そう思ったということではありませんが。しかし、現物の泥の付着状態、落葉の状態、ビニールの状態からして、これは一週間や十日の間に捨てたのではなく、かなりの期間風雨にさらされていたという感じも強かったです(飯野)」     弁護人との問答の末に明らかになるのは、飯野源治警察官が職務に厳格に向き合う姿勢である。狭山事件では散々叩かれた警察組織であるが、中にはこういった警察官が存在することが、狭山事件関連本では全く無視されている。課せられた課題を解決に導くべく、持ち得る権限の範囲内で職務遂行に励む人物は、置かれた立場がどうであれ、評価されねばなるまい。                   

(久しぶりに訪ねた古本屋。店主の趣向がモロに反映された品揃えは、古本ならではの芳香と共に来店客を掴んで離さない。しかし今日、私は見た。サッシ扉を開け店内を一瞥、三秒で逃げるように退散した客を。いい店なんだけどなぁ)