アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 219

「五メートル問題」について一応の区切をつけた弁護人は、捜索時間の尋問に移った。六月二十九・三十日の、飯野源治が言う一日に二時間ぐらい捜索しているとの証言に「四人あるいはそれ以上の人が二日間、計四時間も調べて五メートルぐらいの幅しか調べなかったのですか」との弁護人による問いに証人は「調べるということは通行者の方も聞いてみる、ということです。落としたことが真実ならば、現実に物が無いということは誰かが持ち去ったのではないかという考え方も出て来るわけです。では、当時ここを通った人はどういう人かということでそういう物の洗い出し、ということもあり単に手で時計を二時間捜していたという意味ではありません。捜したり近所の人にそういう事情を聞いてみたり、そういう時間を含めて二時間ぐらいだということです」と答える。さて、弁護人の尋問は腕時計の発見者・小川松五郎に関する事柄に移る。時計発見現場の実況見分後、飯野源治警察官は率先して小川松五郎の供述調書を取るが、理由は「私が最初に現場に行ってその状況を見たということと、それから地元であるので(飯野)」自ら進んで小島警部に進言した、という。七月二日午後二時過ぎから約二時間をかけ、小川松五郎の供述調書を作成、弁護人が「小川さんがあなたに対して述べた事の中で、特に現在覚えていることがありますか」の問いに飯野源治は次のように答える。「このおじいさんは、本妻ではないと思いますけれども、そういう人がいますが、日常扶助を受けていて、仕事はありません。あの当時のことですから○○ちゃん(被害者名)殺しのことは世間に知れ渡っていましたが、この事件に関して何か大事なものがあるらしく、二、三日前に刑事さんがこの辺を二日も調べた、何か置いてあるのだろうという事で噂に出て、自分もすぐ近くだから関心を持っていた。その近くの人に聞いたら時計みたいな物がうっちゃって(捨てて)あるらしいという事なので、あったのか無いのか分からないが、大事な物がこの辺にあったのだろうという事で、野回りに行った帰りに杖を突きながらゆっくり自宅の方へ向かって来た。その時に茶株の根元を見ながら来た。ところが何か金色っぽい物が光ったので何だろうと、持っている杖でその光っている物の回りのごみみたいな物を押したら時計みたいな物が見つかった、というふうに言っていました」……この証言によって、まだ不完全ではあるが小川松五郎が時計発見に至る過程が明らかにされた。弁護人は小川松五郎が時計を発見するにあたって、全く偶然か、あるいは多少の積極性を持って、つまり捜索する意志を少なからず持って茶株付近を歩いていたのか、との問いに「〜どういう物が落ちているか、という認識のない人が、警察官でもないのに捜す必要はないと思います。ただ、おまわりさんが大事な物を捜していたらしい、では何かあるのではないかなあというふうな感じで、根元でも見たのではないかと思います。積極的に捜してやるということではないと思います」と飯野源治警察官は答えた。(続く)                                                                         

(入間川河川敷をパトロール中の猫。首輪が付けられていることからこの近辺の飼い猫であろう。思わぬ出会いに私は興奮し全力でアプローチするも、猫に完全無視され、私は肩を落とし帰路に着いた。しかし、このわがままっぷりが猫の魅力であり、微笑ましい友人として世に愛されているのであろう)