アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 218

証人飯野源治(警察官)は届け出のあった狭山市田中において、二日間に渡り目的物、つまり被害者の腕時計を捜索する。捜査員の数は四人から六人か、五年前という事で記憶ははっきりしないと答える。飯野源治は被疑者の書いた図面を基に現場周辺を探すが、念の為、車に弾かれた場合などを想定し「人間が持ち去らない限りは、飛ぶとしても五メートル範囲というふうに私は私なりに考え(飯野)」その及ぶ範囲を調べた。こう述べた証人飯野源治に対し、弁護人は「五メートル範囲」について、やや執拗に問いかける。一部を引用すると、弁護人:「あなたはその判断に基づいて五メートルの範囲しか調べなかったのですか」証人:「確実に五メートルという意味ではありませんが、大体そのくらいの範囲、及ぶ範囲を捜索しました」弁護人:「茶畑の中の二畝ぐらいも調べたのでしょう」証人:「私一人で調べたのではなく、私はもっぱら国道の方から行って手前の角を調べました。畑の方は別の人が調べました。ただ、茶畑は二畝ぐらいまで調べたという話はそのときに出たと記憶しております」弁護人:「五メートルの範囲ではなく、もっと広く調べたのでしょう」証人:「それは私にはわかりません」弁護人:「五メートルと言ったのはどういう訳ですか」証人:「大体そういう判断が現地で出ましたから」弁護人:「自白によるとT字路の真中に捨てたと聞いたわけでしょう」証人:「私も被疑者の図面を見ましたが、大体道の真中でした」弁護人:「そうすると、そこから測ってゆくと少なくとも周り十メートル前後ぐらいを調べなければあなたの理屈に合わないことになりますね」証人:「私の今言ったことは理屈が通っています。十メートルも時計が飛ぶということは考えられませんから」弁護人:「あなた方は本当に五メートルぐらいの幅しか調べなかったのですか」証人:「ええ」弁護人:「五メートルと言えるのですね」証人:「はい」……。私は何故、弁護人が「五メートル」にこだわるのか、今ここで言うべきではないかも知れないが、それは石川一雄被告人の虚偽の証言に合わせて証拠物が発見されるという、狭山事件が孕む最大の問題点につながっているからだと考えており、幸いにも今回尋問を受けている証人・飯野源治は弁護人の問いに対し筋の通った返答が出来ている。石川被告人の家宅捜査を行なった小島朝政・埼玉県浦和警察署次席の答弁とは雲泥の差である。従ってこの第二十五回公判を注視していくと、何らかの疑義の解明に結びつかないかと期待するのである。(続く)                

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(写真は『無実の獄25年』狭山事件写真集・部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部編・解放出版社より引用)