アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 171

「対照筆蹟から類似筆蹟を拾い出す現在の筆蹟鑑定の方法は、予断による鑑定を可能ならしめている。これらの明白な誤判事件は、現在の『科学的筆蹟鑑定』といわれるものに頼りすぎた為に起きたものである。中田○○(狭山事件被害者:筆者注)さん殺し事件に際して、昭和三十八年五月二十四日の毎日新聞で、『高村(巌)氏も裁判上の筆蹟鑑定について、“ 鑑定は裁判の補助的役目を果たすが、裁判所は必ずしも鑑定結果に基づいて判決をするとは限らない ” と筆蹟鑑定だけで犯人を割り出すのは“危険”との見方をとっている』とし、さらに法務省刑事局談は『筆蹟鑑定の技術は最近かなり高度化しており、限られた範囲内での筆蹟が同一人かどうかを割り出すには有力だが、部分的な類似性だけしか判らない場合は犯人と断定する証拠としては弱い』と言っているのも、前記その他の誤鑑定に対する反省かも知れない。なお、法務省刑事局が言う限られた範囲内での筆蹟とは、例えば大正十二年の第一次共産党事件で石神井会合に出席した二十三名の中から、議事録作成者・高瀬清らを、鑑定人・黒板勝美や石井敬生が割り出したようなものであって、この場合の確率は高いであろう。ところが多くの筆蹟鑑定は、無限大の大衆の中から一人の犯人を絞り出すのである。問題は無限大の大衆を忘れて、限られた範囲内での筆蹟と錯覚して鑑定するところに、誤鑑定の原因があるように思われる」・・・。以上が、戸谷富之鑑定人提出の資料四点の内の二点目「筆蹟鑑定と裁判 1 ・森長英三郎の『刑事裁判と筆蹟鑑定』」: (一)〜(三)内の(二)である。次回は(三)の引用となる。ところで三重県名張市で1961年3月、女性5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」の第10次再審請求で、名古屋高裁刑事2部(鹿野伸二裁判長)は3日、再審開始を認めなかった同高裁刑事1部の決定を不服として奥西勝・元死刑囚=89歳で病死=の妹、岡美代子さん(92)が申し立てていた異議を棄却する決定を出した。弁護団最高裁に特別抗告する方針、と報道されている。この事件も、警察の非常に危なっかしい捜査が起点と私は分析しているが、加えて法曹界の力学も加わり・・・アッ、表現に気を付けなければ・・・真実は闇の奥に葬られるのであろうか。                                      

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