アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 101

狭山事件第二審公判調書765丁。ここに「求意見書」なる題字が現れた。学の無い私はひれ伏し、一旦公判調書を閉じた。遂にここらで挫折を向かえるのかと。でもひょっとしたら私にも理解できるかも知れんと気を取り直し、そうっと調書を開く。被告人は石川一雄とあり、右者に対する強盗強姦、強盗殺人、死体遺棄恐喝未遂、傷害、森林窃盗、暴行、横領被告事件について、弁護人から別紙のとおり検証請求があったから意見を求める、とあり、日付は昭和四十一年四月二十六日、これは私が生まれて一ヶ月目であるが今は関係無く、差出人が東京高等裁判所弐四刑事部、裁判長判事  久永 正勝  とあり、多分宛名と思うが、東京高等検察庁検事  平岡俊将 殿 とある。766丁に移り、ここに「意見書」と題字され、右請求は然るべく御決定相成度と思料する、日付は昭和四十一年四月二十八日、東京高等検察庁、検事:平岡俊将 とあり、宛名は東京高等裁判所第四刑事部、裁判長判事、久永正勝殿とある。刑事訴訟法における「求意見書」の意味とは、などと考えた途端、私は強烈な睡魔に襲われた。したがって上記の案件は保留とし、先へ進む。767丁。再び未知なる題字が現れた。「検証請求書」とあり、石川被告人及び弁護団の氏名が列記され、宛名は東京高等裁判所第四刑事部である。768丁に移り、そこには検証請求書を提出した理由が記してある。「被告人の当公判廷における供述にあらわれた各地点等の存在並びに状況及相互の位置関係を明らかにするため」とあるそして次の行には「検証の目的物は左記のとおり」と書かれ、狭山市内の六ヶ所にわたる地名又は住所が列挙される。検証請求書が提出された日付は、昭和四十一年四月二十二日。(769丁に移り)この日から八日後の四月三十日、さらに「検証請求補充書」なるものが提出され、私はこれらを理解できるのか、再び動悸が早まった。恐る恐る770丁に目をやると、なにやら私にも分かる文面が現れた。「昭和四十一年四月二十二日付検証請求につき左記のとおり立証趣旨を明らかにする」とある。「左記のとおり」とは、次の行から始まる、一から六まで番号をふられた文を指す。一番目の文を抜き出してみた。「一、“ 煙草屋 ” は、昭和三十八年五月一日、午後西武線入間川駅におりたち、帰宅までの時をかせぐためパチンコ屋 “ オリオン ” にゆく途中立ちより “ 新生 ” 一個とマッチ一箱を買い求めた店で、被告人のアリバイを明らかにするため」とある。ここまで来て私は気が付いた。一旦、「検証請求書」に戻り一番目の文を見ると次の文字が読める。「一、狭山市入間川西武線入間川駅前 “ 煙草屋 ” 及びその付近」つまり、この場所(目的物)を何故検証するのか、その理由が「検証請求補充書」に記載されているという訳である。検証請求書と検証請求補充書、それぞれに振られた一から六までの番号は連動していると、やっと私は理解できた。おかげで公判調書767丁から770丁に思い残すことはない。やればできると勇気付けられ、調書を閉じた。                                   
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[ パチンコ屋オリオン ]( 無実の獄25年:狭山事件写真集: 部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部編 : 解放出版社より引用 )