アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 76

狭山事件公判調書第二審600丁下段から始まる、小島朝政証人に対する弁護人の質問である。まず差押え物件等の処置について、捜査員がビニール袋を準備した意図を「指紋その他の証拠資料が減滅しないというような計らいから用意した」という証言を引き出し、しかしながらその意図とは真逆の証拠品押収状況について質す。これは石川被告の自供により、被害者の所持品である万年筆を捜索・押収するため、捜査員たちが石川被告宅に赴き在宅していた兄にその旨を告げ、立会人である兄に素手で万年筆を取らせ押収したという、私でも卒倒しそうな捜索状況が明らかにされ、そこを弁護人が突いてゆく展開である。ところで、石川被告宅はすでに徹底した家宅捜索が二度にわたって行われていた。三度目の捜索は石川被告の自供に基づき「家の勝手場、その上の鴨居」と場所を定め行われ、見事に万年筆を発見押収する。当時の石川被告宅は家の造りがやや低めであり、従って鴨居もそれに倣った高さである。この上に置かれた万年筆は十数人に及ぶ捜査員たちの目には入らず、しかも二度に渡り捜索の目をかいくぐるという離れ業をやってのける。万年筆はピンク色であり、一目で女性用と分かる色であった。さて、弁護人は小島朝政証人(埼玉県浦和警察署次席)に対し「あなたが、ご自身で万年筆を現場から取り出したんですか」と問う。証人:「いいえ、そうではございません。立会人の兄さんに捜してもらいました」弁護人:「立会人に証拠物品を捜してもらうなんてことをよくやられるんですか」  証人は、くどくどと前置きした後「〜立会人、家族に聞きまして、そして出してもらったほうが効果的だと、こういうふうに判断しまして」「そういう意味からですね、露骨に捜してくれとこういうことを立会人に依頼して差押えたと」(609丁)と述べる。そして、この辺りから万年筆押収という、その厳格さを要する業務に対する小島朝政証人の杜撰な意識が明らかにされてゆく。(続く)

f:id:alcoholicman:20211203124841j:plain